一部自動化工場と完全自動化工場
自動運転車、電動化、共有モビリティ、および新素材は、自動車メーカーにビジネスモデルの再考を迫っており、各社は自動車の設計、製造、アフターセールスのありかたを刷新する準備を進めています。デジタライゼーションしなければ、イノベーションのスピードに着いていくことができません。一方、電気自動車(EV)メーカーの複雑な製造問題を解決し、事業を改善して戦略目的を達成するには、デジタル製造が不可欠です。完全自動化のアプローチを使えば、自動車業界の課題に適切に対応して人件費や製造エラー発生率を低減するなど、企業の戦略目標を達成できます。ところが、こうした目標を大々的に実現するために必要なデジタル技術や自動化技術はまだ成熟していません。未来を見据えたEVメーカーには、工場のデジタル化と自律化を進め、製造を最適化するチャンスがあります。
このホワイトペーパーは、定量化した事例を採り上げて、一部自動化アプローチと完全自動化アプローチを比較し、これらがもたらす課題と新たな機会について説明します。
完全自動化製造で人件費とエラー発生率を低減
完全自動化工場「ダーク・ファクトリー」は、人的介入なしで長時間にわたる操業が可能な製造施設です。完全自動化製造は、新たな機会と新たな課題をもたらします。費用便益分析で完全自動化の導入が支持されるようにするには、光熱費や電球購入費の削減をはるかに超えるメリットが必要です。完全自動化製造/工程を導入するメリットは、人件費の削減やエラー発生率の低減などです。機械は、疲労を感じたり、注意散漫になったりすることがないため、繰り返し作業を一貫して実行できる点で人間の労働者よりも優れており、長時間にわたって最小限のばらつきで作業を実行できます。自律型ロボットやコラボレーション・ロボットが進化しても人的作業が完全になくなることはないにせよ、作業員の効率や生産性が高まり、製造工場で必要とされる作業員の数が低減する可能性があります。
ダーク・ファクトリーには包括的なデジタルツインが必要
完全自動化工場「ダーク・ファクトリー」をサポートするデジタルツールの中心的役割を果たすのがデジタル・ツインです。デジタル・ツインは、物理的な製品とその関連工程(構想から耐用期間中の製品の性能に至るまで)を仮想的に表現したものです。デジタルツイン(製品、生産設備、製造、性能のデジタルツイン)は、完全自動化製造オペレーションに不可欠です。各デジタルツインはライフサイクルの全期間を通して開発状況を表示します。これによりメーカーは、動作を予測して性能を最適化するほか、設計/製造経験から得た知見を導入することができます。これらのデジタルツインを組み合わせることで、製品の寿命全体を捉えた包括的なデジタルツインが生成されます。今日メーカーは、モノのインターネット(IoT)データと解析が組み込まれた包括的なデジタルツインを使用し、継続的改善、生産コスト削減、品質向上をもたらす実用的な製造知見を活用して、完全自動化製造を実現しています。
完全自動化オペレーションに不可欠なデジタルツール
デジタル・エンタープライズ・ソフトウェア・ソリューションは、デジタルツインとデジタルスレッドを作成、アクセス、活用し、製造オペレーションを導入するための手段です。その中心的なサポートは、製造エンジニアリング、バーチャル・コミッショニング、製造オペレーション管理ソフトウェアなどのデジタル製造ソリューションによって提供されます。デジタル製造ソフトウェアは、製品のアイデア、CAD、プランニングの仮想環境と、生産の実環境を接続します。こうしたデジタルツールは製造プロセスに高い品質と効率をもたらし、製造プロセスがプロアクティブかつ体系的に実行されるようにします。シーメンスのデジタル製造ソフトウェアは、機器、コントローラー、エンタープライズ・ビジネス・アプリケーションと容易に統合することができます。企業全体の生産とプロセスを完全に可視化して制御し、製造を最適化できるため、完全自動化オペレーションの基盤を構築できます。
このホワイトペーパーでは、EVメーカーに現実の価値をもたらす実現可能な導入(繰り返し作業や単調な作業の自動化など)に重点的に触れていきます。今すぐダウンロードしてご一読ください。