タイヤは、車両の挙動に大きな影響を及ぼす、非常に複雑な非線形の車両コンポーネントです。車両モデル数の増加にともない、試験や検証をするべきユースケースも増えてきました。こうした事情に、開発時間を削減する競争の激化が加わり、物理的な車両試験に替わるシミュレーションの必要性は高まっています。
タイヤ性能のモデリングには、多くの専門知識と技術が必要です。このために、Simcenterはスケーラブルなカスタマイズ・ソリューションをエンジニアに提供しています。Simcenterの最終目標は、タイヤの力とモーメントを正確に示すシミュレーションであり、さまざまな車両性能シミュレーションで使用できるようにすることです。
タイヤは、車両ダイナミクスのシミュレーション性能に不可欠な役割を果たします。Simcenterは定常状態および過渡状態の動作を最大8Hzまで正確にシミュレーションし、ハンドリング、コントロール・プロトタイピング、ADAS (先進運転支援システム) 解析を支援します。パセイカのマジック・フォーミュラによる世界標準の実装を使用すると、すべての主要な車両ダイナミクスのシミュレーション・パッケージにSimcenterタイヤモデルを含めることができ、企業内および企業間の標準化が可能になります。
オールインワンのタイヤモデルを使ってあらゆる車両ダイナミクスを解析できます。車両のハンドリングに加えて、タイヤモデルを拡張して、ターンスリップ・モデリング、タイヤベルト・ダイナミクス、駐車、乗り心地、道路荷重予測、振動解析のための一般的な3D障害物エンベロープを含めることができます。Simcenterは、3D不整路面シミュレーションでは業界最速のタイヤモデルを持っています。
測定データをデジタル・タイヤモデルのパラメーターに変換します。タイヤ特性を自動でスケーリングしながら、タイヤ圧や剛性、摩擦の大きさなど、タイヤ状態の変化によって起きる影響を検証することができます。また、タイヤ特性の値を標準タイヤモデルのパラメーターや測定データに変えて、「仮想タイヤ」を作成することもできます。
さまざまな路面でのタイヤ性能を測定します。タイヤ路面の試験装置を使って、乾いた路面や濡れている路面、雪道、凍結した路面などさまざまな路面状況をカバーします。Simcenterの試験トレーラーは、さまざまな路面でのタイヤの力とモーメントを測定できるように設計されており、乗用車だけでなくバイクのタイヤも測定できます。社内開発したバイク用タイヤ測定セットアップでは、タイヤの最大70度のキャンバー角まで測定できます。デジタル・タイヤモデルに変換するための入力を収集するだけでなく、検証やベンチマーク調査に測定機能を使用することもできます。
モデルの縮退をせずにリアルタイムの変数に変換することで、あらゆる段階で等しい数値結果を保証します。製品開発全体を通して、デスクトップ・アプリケーションやHiL (ハードウェアインザループ) セットアップ、ドライビング・シミュレーターなど、さまざまなシミュレーション環境を使用します。Simcenterでは、測定結果に影響を与えることなく、すべての車両シミュレーション環境で標準化されたタイヤモデルを使用し、必要な計算性能にモデルを合わせられるようにしています。
