SIMATIC IT MESソフトウェア
SIMATIC IT統合アーキテクチャ ファウンデーション (UAF) は、製造業の未来を築く革新的技術に的を絞りながら、最新のMOMエコシステムを構築、実行、管理するプラットフォームです。SIMATIC IT UAFのコアとなるのが統合製造オペレーションデータバスです。レガシーアプリケーションを統合する共通のバックボーンとしての役割を果たすとともに、一元化した統合システムを実現する最初の重要なステップとなります。
SIMATIC IT UAFのロジックは、小規模から大規模コンピューティングハードウェア用に設計された分散実行環境で実行されます。データは標準的なリレーショナルデータベース管理システム (RDBMS) に保持されます。
SIMATIC IT UAFは、ドメイン駆動設計 (DDD) で構築されています。アプリケーションデータやサービス、イベントは、アプリケーション構造を設定したモデルで定義され、任意のレイヤでメタデータとして公開されます。
SIMATIC IT UAFは、イベント駆動型のサービス指向アーキテクチャ (SOA) です。モジュール式の機能ブロックで構成されたアプリケーションは、イベントやメッセージと通信しながら実行環境にデプロイ (配置・実行) され、管理されます。モジュール式にアプリケーションを管理できるアーキテクチャにより、機能の拡張も容易です。
SIMATIC IT UAFは、アプリケーション・ライフサイクル全体を通して高いパフォーマンスレベルを保てるよう拡張が可能であり、ユーザー数やデータ量の増加に対応しているだけでなく、機能の拡張もサポートしています。
関連製品: Opcenter Execution
SIMATIC IT Unified Architecture Discrete Manufacturing
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ディスクリート型マニュファクチャリング向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、ディスクリート市場のニーズに対応した専門的な製造実行システムです。シーケンシャルなディスクリート製造機能を実行して必要な製品を生産する特定の産業ニーズを満たすように設計されています。例えば次のような産業ニーズに対応しています。
- 自動車サプライヤー
- 航空宇宙 / 防衛業界向けサプライヤー
- エネルギーおよびユーティリティシステムメーカー
- 産業機械 / 重機メーカー
- 白物家電 / 家電メーカー
- 複雑な部品の製造および組み立て
- 複雑なアセンブリ製造やマシンショップ環境 (複雑度の高い製品、少量生産) と自動化された反復的な製造 (構成変更可能な製品、大量生産) のどちらにも対応した専門的な標準機能を搭載
また、ディスクリート型マニュファクチャリング向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、粉末床アディティブ・マニュファクチャリング・プロセスもサポートしています。粉末床アディティブ・マニュファクチャリングには、粉末バッチの準備、分割、消費、リサイクル、試験所証明書との関連付け、混合、系図といったプロセスが含まれます。また、シリアル番号と粉末床アディティブ・マニュファクチャリングの印刷ジョブの関連付けも行います。
ディスクリート型マニュファクチャリング向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、エンジニアリングおよびランタイムデータの定義をネイティブで提供します。製品エンジニアはエンティティを定義できるため、エンジニアリングデータのモデリングが可能です。つまり、これから生産する製品、生産プロセス、関連する作業オペレーション、そして場所や機械、工具、材料定義、欠陥コード、やり直しコードといった必要なすべてのリソースに関する情報を設定することができます。もちろん、これらのデータを外部システムからインポートすることも可能です。
ディスクリート型マニュファクチャリング向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、オペレーションの開始と完了を検証するための構成変更可能な連動チェック機能や、製造ツールや装置の使用に関する構成変更可能な制約機能を備えています。また、監査および認証管理によって、不正な行為を追跡して防止します。セットポイントを装置にダウンロードし、プロセスデータを収集し、ラベル印刷をトリガー (起動) することもできます。ディスクリート型マニュファクチャリング向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、材料の呼び出し、工具の呼び出し、電子カンバン (e-kanban) バッファの補充を行います。
プロセス産業向けSIMATIC IT統合アーキテクチャ
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プロセス産業向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、消費財 (CPG)、食品・飲料、化学産業向けのソリューションです。プロセス産業向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、直感的なタスク管理機能を使って、製造オペレーションや仕掛品 (WIP) を適切に順序立てた入念な生産計画を可能にします。これにより、限りあるリソースへの依存軽減、サイクルタイムの短縮、納期の遵守を達成します。
特定の生産装置と製品特性に関連付けられた優先順位や生産ルールを用いることで、適切な装置を適切な状態、場所、タイミングで使用できるように保証します。その結果、プロセス製造の現場では、段取り替えにかかる時間と工数を最小限に抑え、装置の稼働時間を長くすることができます。プロセス産業向けSIMATIC IT統合アーキテクチャは、限りあるリソースを考慮し、必要に応じて並列、重複、または代替運転を検討します。
SIMATIC IT UAプロセスインダストリーズは、実際の製造オペレーションをリアルタイムで報告し、予想結果と過去の結果との比較を可能にします。基準値に対する性能の測定やスケジュール進捗、製品ユニットのサイクルタイム、リソースの可用性、リソースの利用率などのデータを提供するだけでなく、統計的工程管理および統計的品質管理 (SPC/SQC) などの解析を実施します。
SIMATIC IT eBR
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SIMATIC IT eBRは、ライフサイエンス業界や製薬業界で使用する電子バッチレコード (eBR) 管理のための専門的な製造実行ソリューションです。MESと分散制御システム (DCS) 間をネイティブに統合するため、eBRの設計、実行、レビューの手順を迅速に進め、マスター・バッチ・レコードの設計プロセスに柔軟性をもたらします。
SIMATIC IT eBRは、紙ベースの手順書やドキュメントを使わずに、すべての規制プロセスを管理します。設定が簡単で、標準機能も搭載されているため、特別なITスキルがなくてもあらゆるプロセスを設計できます。
米国食品医薬品局 (FDA) と適正製造基準 (GMP: Good Manufacturing Practice) の規制に完全に準拠しているため、バッチ製造プロセスを最適化し、ユーザーへの指示や装置の割り当て、標準的な作業手順などを効率化します。また、人による操作も自動化された操作も、すべての段階で適切な製造実行を体系的に制御します。
SIMATIC IT eBRを使うことで、製薬 / ライフサイエンス業界のメーカーは、重要なプロセスデータを確実に得ることができます。系図や監査証跡ツールを使った前方・後方検索が可能なため、製造、レビュー、リリース時間を大幅に短縮し、市場投入を加速します。
SIMATIC IT eBRによって、ライフサイエンス業界のメーカーはオペレーショナル・エクセレンスの達成や市場投入の加速、コンプライアンス費用の削減、品質と生産性の向上を実現できます。これにより、ユーザーへの指示や装置の割り当て、作業手順などの効率を最大化し、人による操作も自動化操作も、製造実行環境内のすべての操作を制御して追跡します。また、例外が存在する製品バッチレコードのみをレビューする機能により、製品のリリースを迅速化・効率化させます。
高度なワークフローエンジンと使いやすい電子作業指示 (EWI) 機能を搭載したSIMATIC IT eBRは、製造を指示するだけでなく、完成したバッチレコードのレビューに必要な情報をすべて記録して一元化し、例外をリアルタイムにレビュー / 解消してからリリースできるようにします。マスター・バッチ・レコード (MBR) の管理機能によって、重要なプロセスパラメーターを促します。
SIMATIC IT R&D Suite
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SIMATIC IT R&D Suiteは、研究開発および製造プロセスを効率化します。これにより、R&Dラボとプラントを統合することにより、製造プロセス全体を通じて製品データと定義のシームレスな移行が可能になります。
SIMATIC IT R&D Suiteは、製品設計とプロセスを品質要件や規制要件に準拠させ、法令遵守や知的財産プロセスといった重要な機能を提供します。また、プロジェクト管理、処方・パッケージング開発、試験・実験管理、生産プロセス設計といった一般的な研究開発活動には、電子ノートブック機能やラボ管理、仕様管理、バッチと在庫管理、パイロットプラント製造など、最高水準の統合コンポーネントセットで対応します。
SIMATIC R&D Suiteは、研究、開発、ラボ活動のための3つの統合モジュール型ソリューションに機能をまとめています。
- SIMATIC IT Interspec (Opcenter仕様を参照) - 企業内で使用されたすべての原材料、半製品、完成品、包装材料のすべての詳細を含む、プラント全体の単一のリポジトリを世界中で実現します。 (完全な部品表 (BOM) とバージョン管理された仕様書も含む)。
- SIMATIC IT R&Dフォーミュレーションコンポーネント(Opcenter Formulationを参照) - 製品のデジタルツインに命を吹き込みます。SIMATIC IT Interspecが提供する単一のレポジトリにアクセスし、既存の部品表 (BOM) を使って、またはゼロから、デジタル環境で配合・処方の改善に取り組むことができます。配合・処方のデジタル・ツインを使用することで、製品コストや栄養価、アレルゲン、また規制への準拠 (製品の輸出国の規制を含む) に配合・処方が及ぼす影響を即座に確認できます。
- SIMATIC IT Unilab (Opcenter Laboratoryを参照) - ラボラトリー情報管理システム (LIMS) コンポーネントは、SIMATIC IT R&D Suiteの基本的な部分です。すべての品質パラメーターと仕様管理コンポーネントを定義し、配合・処方のデジタル・ツインを生成するSIMATIC IT Unilabは、デジタル・ツインを実際の試験にシームレスに移行させ、事前定義した品質パラメーターに試験が適合しているかをラボで即座に解析することができます。
SIMATIC IT R&D Suiteには、これ以外にも次のような重要なツールを備えています。
電子ラボノートブック (ELN) — すべての研究者があらゆる種類の実験データやレポートを電子形式で簡単にキャプチャできるようにするための機能です。
配合・処方ワークベンチ — ワークベンチで大量の試作品を管理するためのクリエイティブな環境を提供し、新しい配合・処方、原材料、包装材、材料、製造プロセス設計、試験設計を導入および検証して試験と実験をサポートします。
サプライヤーとのコラボレーション — これにより、サプライヤーと緊密に連携して、策定された製品データ管理を行うことができます。セキュアなポータル経由でサプライヤーがシステムに直接アクセスすると、自社が供給する材料のみが表示される仕組みになっており、必要な情報フィールドを更新できます。このツールは、製品データシートに仕様が記載されていないことや、仕様をシステムに再入力する際の時間の損失によるエラーや非効率性のリスクを最小限に抑えます。
SIMATIC IT Unified Architecture Manufacturing Intelligence
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SIMATIC IT統合アーキテクチャ 製造インテリジェンスは、製造用のデータ分析の未来を築く革新的技術 (IoT、クラウドコンピューティング、高度な解析) に的を絞った、最新のエンタープライズ製造インテリジェンスソリューションです。
SIMATIC IT統合アーキテクチャ 製造インテリジェンスは、さまざまな企業の製造データをつなげて体系化・集約し、一貫したインテリジェントな、コンテキスト化された情報に変えることで、すぐに使える有益な知見をもたらします。プロセスデータに加えて、ビジネス情報やオペレーションデータ、製造に影響する主要業績指標 (KPI) などの情報も得られます。
どこからでもアクセス可能なWebベースのダッシュボードとレポート機能や、セルフサービスのデータ探索機能によって、スプレッドシートやレポートをバラバラに見ていたときには見えなかった動向やその他データの関連性に気づけるようになり、情報の全体像を把握できるようになります。
SIMATIC IT統合アーキテクチャ 製造インテリジェンスは、解析やレポーティング技法を製造拠点、地域、グローバルの各レベルのオペレーションやビジネスデータに適用することで、シーメンスのMOMソリューションを拡張します。
SIMATIC IT UA Manufacturing Intelligenceは、ラボラトリー情報管理システム(LIMS)、エンタープライズリソース管理(ERP)、 製造実行システム、 品質管理システム、 高度な計画とスケジューリングなどのデータソースを1つのアクセス可能な分析データモデルに統合、接続、統合し、コンテキスト化されたデータを探索してドリルダウンする機能を提供します。
SIMATIC IT統合アーキテクチャ 製造インテリジェンスは、工場レベルでは、工場フロアとエンタープライズシステム間の連携とデータ交換を促進するために使用し、エンタープライズレベルでは、生産実行を基準に照らして評価および比較したり、さまざまな工場オペレーションを予測したりするために使用します。異なるソースから取得したデータが組み合わさると、データを新しいコンテキストで捉えたり、集約したりすることができ、データソースに関係なく、ユーザーは別の、より包括的な視点でオペレーションを把握することができます。