本文へ移動
Zipline International Inc.
Aerospace & Defense NX
Zipline International Inc.

ルワンダの遠隔地に重要な医療物資を確実に届けるドローン設計に、NXを活用

カリフォルニア州ハーフムーンベイ市, United States

Aerospace & Defense NX

ルワンダの遠隔地に重要な医療物資を確実に届けるドローン設計に、NXを活用

カリフォルニア州ハーフムーンベイ市, United States
quotation marks NXのWAVEリンク機能を使って、トップレベルのマスターを取得し、変更を複数のサブシステムに反映させるという、非常にロバストなマスター方式を実行することができました。 Paul Perry, メカニカル・エンジニア Zipline International Inc.
課題
  • 命を救う医薬品を時間通りに届けること
  • 過酷な気象条件に対応すること
  • 遠隔地に医薬品を届けること
成功の鍵
  • NXを使い、航続距離と精度を併せ持つ、信頼性の高いドローンを設計
  • 自動飛行ドローンとデジタライゼーションによって、命を救う医療物資を届けた
  • モジュール式のドローン設計を実装し、簡単なメンテナンスと最小限のダウンタイムを実現
成果
  • ルワンダでのドローンサービスの開始以来、何千回もの飛行任務を実行
  • 命を救う医療物資を遠隔地に配送
  • 99.9%の成功率で何千パックもの血液をルワンダ全土に配送

Zipline International Inc.

シリコンバレーを本拠地とする物流企業であるZipline International Inc.は、重要な医薬品を搬送するための小型ロボット飛行機の設計、製造、操作を行っています。Ziplineの事業によって、交通の便が悪い遠隔地の人々が、どのような地形や道路インフラであっても、迅速かつ確実に、手の届く料金で、命を救う医薬品を入手できます。

www.flyzipline.com

quotation marks NXのWAVEリンク機能を使って、トップレベルのマスターを取得し、変更を複数のサブシステムに反映させるという、非常にロバストなマスター方式を実行することができました。 Paul Perry, メカニカル・エンジニア Zipline International Inc.

医療物資の搬送を、いつでも、どこへでも

20億人以上もの人々が、過酷な地形やインフラの不備によって、血液やワクチンなどの重要な医薬品を十分に手に入れることができていません。東アフリカの内陸国であるルワンダは、山地が非常に多く、世界のどこにも負けないくらい「過酷な地形」といえるでしょう。これを認識したZipline International Inc. (Zipline) は、2016年に世界初のドローンによる医療物資搬送システムを立ち上げました。このシステムはルワンダ全土で展開され、どのような天候であっても休むことなく、急を要する医薬品を必要な人々に届けています。

プロジェクトが動き出す

Ziplineは、カリフォルニア州ハーフムーンベイという、太平洋に面した小さな都市にあるスタートアップ企業です。同社は、医療物資の輸送業界を創造的に破壊する企業へと、急速に成長してきました。ルワンダでの事業を評価されたZiplineですが、そもそもの始まりは、同社の共同創業者であり、製品とエンジニアリングのトップを務めるKeenan Wyrobek氏が、東アフリカの海沿いにある研究所を訪問したことでした。

Wyrobek氏はタンザニアのイファカラ保健研究所を訪れた際に、現地の研究者と知り合いました。その研究者はタンザニアの地方在住の医師たちから、患者の治療に必要な物資がなかった場合、毎回それをテキストメッセージで知らせてもらうようにしていました。研究者は大規模なデータベースに何千件ものデータを保存していました。これらは患者の症状や、治療に必要だったもの、最終的な治療結果で分類されています。その結果、タンザニアの医師にとって、医療物資の入手状況はアメリカとは程遠く、輸血用血液が足りないために患者が命を落としていることがわかりました。切り傷を治療するための外用抗生物質といった一見ありふれた薬であっても、簡単には手に入らないのです。

Wyrobek氏は、タンザニアの若者が腕に小さな傷を負い、必要な抗生物質をすぐに受け取れなかったために、数日後に細菌感染を起こしたという話に衝撃を受けました。すぐに治療を受ければ、きれいに治ったはずの傷が、感染があまりにひどくなり、腕の一部を切断しなければならなかったというのです。

医療物資を満載したドローンを、これまでアクセスの悪かった国々で飛行させるというコンセプトは、この話から生まれました。

Wyrobek氏は次のように語っています。「このような出来事が、私たちを動かしました。人々は何十年も、未舗装の道路や雨季という条件で物資を何とか運搬しようとしてきましたが、この問題は同じやり方では実際に解決しないと私たちは考えました。私たちにとって、答えは明らかでした。道路の上を文字通り飛んでいけば、医薬品を届けられ、医療を大きく変えられるということです。」

命を救う飛行

Ziplineはドローンを使うことで、越えられない山や雨で流された道路の上を飛行して、遠隔地のクリニックに重要な医療物資を直接届けることで、アクセスを改善させました。同社は供給を一括管理し、依頼に応じて配送することで、余剰の廃棄や欠品を著しく削減しています。ルワンダ西部では輸血用血液の搬送を担っており、7000回以上の配送で血液が不足している病院に13,000パック以上の血液を供給しました。

Wyrobek氏は、次のように話しています。「ルワンダの配送センターを運営している当社のオペレーターは、ドローン技術や天候の悪化について考えてはいられません。どの医療物資を誰が必要としているのか、それを時間通りに、ただちに届けることに集中し、そのことだけを考えていなければなりません。

彼らを支えるのが、私たち設計エンジニアリングチームの仕事です。Zipと名付けられたドローンが、あらゆる天候の中で余裕をもって運搬できるように、私たちが作るべきなのです。何があっても、ドローンが持ちこたえ、配送を完了させるのです。」

遠隔地のクリニックで働く医療従事者は、必要な医薬品をテキストメッセージでZiplineに依頼します。医薬品はZiplineの配送センターにまとめて保管されており、取り扱いに注意が必要な品物や、数が少ない品物も、ただちに入手できます。ドローンに積む医薬品は配送センターで梱包されます。サプライチェーンを通して温度が制御され、医薬品の完全性が維持されます。医療従事者がテキストメッセージを送ってから数分後には、依頼した医薬品が出発したという連絡が届きます。時速100キロ以上のスピードで、半径80キロの配送エリアを飛行するドローンは、ほかのどの輸送手段よりも医薬品を迅速に配達できます。パイロットは必要ありません。医薬品は30分以内に、指定された位置にある、広さ車数台分の空き地にパラシュートで静かに下ろされます。病院の職員には、到着したことがテキストメッセージで通知される仕組みです。

NXを選んだZipline

創業当時のZiplineは、比較的安価ではあるものの、初歩的なコンピューター支援設計 (CAD) パッケージを使用していましたが、実用面で限界があることがすぐにわかりました。大量のメモリを処理することができないため、エンジニアには使いにくく、高価なコンピューターと併用しなければなりません。Ziplineには、特定のタスクが自動化され、エンジニアがCADデータベースとやり取りでき、アドオン・モジュールを使える機能を持ったソリューションが必要でした。

ZiplineはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのNX™ソフトウェアが、ドローン設計のニーズに理想的なソリューションであると考えました。NXを導入した同社のエンジニアは、機体全体をCADモデルに取り込み、機体の中でそれぞれの部品が適合するかを確認できるようになりました。例えば、翼を担当しているエンジニアが、翼が干渉を起こさず、ドローンの胴体に正しく取り付けられるかを確認したい場合、機体のアセンブリの読み込み時間を心配している余裕はありません。それ以前のCADパッケージでは、読み込みプロセスに時間がかかりすぎ、エンジニアは負担に感じていました。NXはこのような心配がなく、複数のエンジニアがリアルタイムで同じ部品の設計を行い、それらが完成した際に一体となって適合するか、そしてどのように機能するのかを確かめることが可能です。

Ziplineの機械エンジニアであるPaul Perry氏は、次のように語っています。「NXにはドローン全体のシェルを作成する機能があり、内側からも外側からも作業していくことで、開発が迅速に進みます。私たちはエンジニア3人のチームでしたが、9人に増やしました。ドローンの内部で同時に作業する人が何人も必要なので、これが重要でした。NXのWAVEリンク機能を使って、トップレベルのマスターを取得し、変更を複数のサブシステムに反映させるという、非常にロバストなマスター方式を実行することができました。」

Ziplineはさらに、グレードの高い航空宇宙用材料が必要な重要部分と、それ以外のプラスチックや発泡体を使っても構造健全性や機械的な機能を低下させずに、コストや質量を減らせる部分を、NXを使うことにより判断できました。

Ziplineのドローンが運搬することになる医療物資の量を考えると、重量のテストが非常に重要でした。重さを減らすための厚み解析や応力解析を迅速に実行できたので、同社は余計な反復やテストに時間を費やすことなく、目標値に到達しました。

Perry氏は、次のように述べています。「このドローンの最適化の大半は、構造と熱に関するものです。最適化する上で、質量が最も重要な変数であることは、はっきりしています。私たちは構造面の最適化を行うことで、質量を減少させると同時に、剛性と強度の目標値を維持できました。」

Sam Chaknova氏はZiplineの製造エンジニアとして、ドローンに使用される部品を製造し、アセンブリが簡単に行えるようにセルや一部の治具を設計しています。彼はいくつかの新しいドローンの部品について、寿命試験をより短期間で実行できるようなサイクル試験装置の製作を任されていました。

Chaknova氏は、「NXを使って、設計エンジニアからCADデータを受け取り、サイクル試験装置と、それを製作するための周辺部品を作成し、ドローンの組み立てに使用する実際の製造治具も製作しました。さらにNXによって、設計エンジニアから受け取ったCADデータを3Dプリンターで出力したので、技術者のアセンブリ作業が大幅に簡単になりました」と語りました。

NXはZiplineがドローンに使用する回路基板の作業にも、大いに力を発揮します。Ziplineが使用しているような小型無人航空機 (UAV) には、ワイヤハーネスの代わりに、複雑な回路基板が必要です。これらの基板はワイヤハーネスの役割に加え、航空電子機器に求められるすべての機能を実行します。

ドローンの設計および製造では、電気 / 機械エンジニアリングを一つにまとめるため、機体のバランスや前から後ろまでの重量配分などの微妙な点までが完璧でなければなりません。NXの中で電気と機械の領域が統合されることによって、Ziplineのエンジニアは反復設計プロセスをシームレスに進行できます。誰かがドローンの部品を修正したら、そのことは直ちに伝えられます。

Ziplineのドローン設計プロセスにとって、デジタライゼーションは鍵を握る要素です。Perry氏は、NX独自の自動アップデート機能を使うことで、Ziplineのエンジニアは反復や、設計変更の自動アップデート、それに対応した新機能の追加などを迅速に行えたと話しています。

医療物資の搬送で未来をよくする

Wyrobek氏によると、Ziplineは信頼性の高いロボティクス・エンジニアリングを活用し、高い信頼性とフォールトトレランスを備えたシステムを構築し、航空業界の長所を最適に組み合わせています。ホームビルト機の航空電子機器で使用されることの多いフォールトトレランスのレベルをUAVに用いて、1人のオペレーターが同時に20~30機を飛行させることを可能にしました。Ziplineのテストの半分以上は、ドローンの安全性と信頼性をベースにしたもので、どのような気象要素が出現しても、ドローンが確実に任務を完了できるかが確認されます。

Ziplineのドローンは、スケールメリットを得られるように、製造可能性を徹底的に考慮して設計されています。ドローンには特定の故障を感知する機能が備わっています。トラブルが検出されると、ドローンは配送センターに引き返し、即座に別のドローンが発進して、医薬品を届けます。Ziplineの創業以来、ドローンの信頼性と安全性は最も重要であり、その観点から多くのエンジニアリングとテストが行われています。

Chaknova氏は次のように述べました。「配送センターに必要な数のドローンを供給するには、組み立てが簡単で、さらに、メンテナンスが容易でなければなりません。それによって、現場でのメンテナンスが可能になり、ドローンの稼働が中断せずに、人々の命を救うことになるのです。」

Ziplineのエンジニアは試作機をカリフォルニアで設計、構築しています。UAVの信頼性が100%であり、使用可能と判断されると、ルワンダのZipline配送センターに出荷されます。そこから、ドローンは血液が必要な指定の場所へ飛び立ちます。カリフォルニアで働いているZiplineのエンジニアがルワンダを訪れ、実際のオペレーションを見たとき、自分たちの仕事がどのような影響を与え、どれほど現状を変えているのかを理解しました。

ZiplineのロボットエンジニアであるJeremy Schwartz氏は、こう語っています。「現地に行って、この目でドローンが離陸するところを見たのは、本当に素晴らしい体験でした。私たちはカリフォルニアで実験をしていますが、それはテストです。ドローンがルワンダで離陸するのは、血液を必要としている人に血液を届けるためです。誰かの命を救っていると考えるだけで、感動を覚えます。

クローズド・ループをこれほど速く完成させたという効率性の観点からも、やりがいの面でも、このプロジェクトに関わり、その結果が即座に、これほどダイレクトに出ているとわかって、最高でした。」

Ziplineは1日あたり何百機ものスマートな自動飛行ドローンを飛ばし、ルワンダでのドローンサービスの開始以降、何千回もの飛行任務を行ってきました。成長と拡大を続けるZiplineは、世界のどこであっても、より多くの人々が必要な医療物資を受け取れるように支援することを目標に掲げています。

「ルワンダでの経験を生かして、次に続けていくつもりです。今の良い状態を、さらに自分たちの目指す姿へと高め、より大きなことを実現したいと考えています。」とWyrobek氏は語っています。

詳細を非表示 詳細を表示