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ユーザー事例

Simcenterソリューションを使用してSIPART PS2製品の性能を予測したSiemens Process Instrumentation

Simcenterのソリューションとサービスが仮想試験の自動化を支援し、電空ポジショナーの開発とシミュレーションを加速

Siemens Process Instrumentation uses Simcenter solutions to predict SIPART PS2 product performance

Siemens Process Instrumentation

Siemens Process Instrumentationは、流量、高低差、圧力、温度を測定するため革新的なプロセス校正器の豊富なラインナップと広範な連続秤量製品を提供しています。同社のパッケージには、空気圧式バルブポジショナー、プロセス制御・記録装置、プロセス保護装置もあります。石油・ガス、化学、上下水道、電力などあらゆるプロセス産業のさまざまな適用ニーズに応える多彩な技術を展開しています。

http://www.siemens.com/process-instrumentation
本社:
Karlsruhe, Germany
製品:
Simcenter 3D Software, Simcenter Products, Simcenter Amesim
業種:
産業機械

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Simcenter Amesimの利点は、複雑なメカトロニクスモデルを非常に素早く構築できることです。事前定義されたライブラリを使用して、それらを取りまとめて高忠実度と高品質のシミュレーションモデルを完成させました。
Robin Burger , 機械設計者兼シミュレーションエンジニア
Siemens Process Instrumentation

プロセス産業の効率化

プロセス産業は、非常に多くのアセンブリとコンポーネントを扱うために複雑です。石油・ガス、エネルギー、食品・飲料、化学、薬品、消費財、バイオ技術といった業界ではプロセス製造が一般的です。

Siemens Process Instrumentationの顧客は、圧縮空気を使用したプロセスバルブの位置制御装置 (高性能ポジショナー) をはじめとする精密装置なしにはプラントの効率化と省エネ化を達成できません。上流制御コマンドを実行し、空気注入と抽気によってアクチュエーターの圧力を指定値に保持します。

Siemens Process Instrumentationが開発・製造するSIPART PS2ポジショナーは、この方法で幅がわずか数ミリメートルの送出口から直径3メートルのパイプまであらゆるサイズの導管用バルブを制御しています。空気量やドライブの真空充填速度には大きなばらつきがあります。バルブの構成に関係なく、制御コマンドを正確に実行する能力こそがSIPART PS2の強みであり、付加価値です。あらゆるドライブ変数 (モデルや寸法など) と環境条件 (温度や圧力など) に対応するため、バルブ位置が数百万通りにのぼります。

Improving process industry efficiency

被試験バリエーションのあまりの多さと高額コスト

SIPART PS2の開発プロジェクトは、Siemens Process Instrumentationの研究開発 (R&D) 部門でプロジェクトマネージャーを務めるPhilippe Labalette氏が率いています。Labalette氏はプロセス製造で特に難しい課題は実装であると説明し、次のように述べました。「変更を加えるたび、ポジショナーがこれまでと同じようにすべてのアクチュエーターとバルブの位置を調整できるようにしなければなりません。もちろん、試験施設であらゆる組み合わせを試してみることもできますが、それでは時間とコストがかかりすぎます。何万回もの試験を行わなければならないからです。」

仮想環境で試験できれば時間とコストを削減できます。こうした理由から、Labalette氏は、何百万の構成を自動でシミュレーションする方法を検討することにしました。仮想試験であれば、複雑なマルチフィジックスのシステムが関わるポジショナーの性能をエンジニアが仮想評価し、標準仕様と高性能仕様の両方で制御装置を速やかに最適化できます。

Too many variants to test, too costly to run

デジタル・ツインを使用した仮想試験

Labalette氏とシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのSimcenter™ Engineeringサービスチームは共同で仮想の試験環境を作り上げました。「Simcenter Engineeringと協業して複数のバルブシステムを自動的に統合するウィザードを作り、Simcenter Amesimを使用したモデリング、複数パラメーターのバッチ処理ができるようにしました。」Labalette氏はこのように述べています。Simcenter Engineeringの協力のもと、Simcenter Amesim™ソフトウェアとSimcenter 3Dで構築したデジタル・ツインを使用して、ポジショナー、駆動装置、バルブ間の完全な相互作用をシミュレーションする仮想試験環境を完成させました。デジタル・ツインは、コンポーネントの重要な特性を表現したデジタル・モデルです。

例えばポジショナーの場合、サイズ、材質、速度で変わる空気量をモデルに含めます。仮想の試験環境は、ポジショナーからドライブ、その後バルブへとエネルギーがどのように伝わるかをシミュレーションします。ポジショナーの用途に応じて別々のパラメーターを設定できます。例えば、パイプ半径、パイプの中間流れ (石油や水など)、温度などの外的条件、使用予定のバルブと駆動装置などをパラメーターとして設定します。Labalette氏はこう説明します。「この仮想環境は、あらゆる組み合わせを順列で、一度に自動で試験できます。その後、ポスト処理ツールを使用して、何千もの組み合わせを効率的に解析し、最良の構成を見つけ出します。」

Simcenter AmesimとSimcenter 3Dを使用して、バルブのデジタル・ツインを微調整

Simcenter製品を使用して、バルブのデジタル・ツインが実現しました。「SIPART PS2の開発にはSimcenter AmesimソフトウェアとSimcenter 3Dを使用しています。Simcenterツールは、複雑なシステムのアーキテクチャーをプロジェクトの初期段階にベンチマーク評価するのに非常に有用です。この結果、プロジェクト終盤での試験の工数が減り、解析の間違いも少なくなりました。

高性能ポジショナーの開発はそのオープン性が課題です。あらゆるプロセスと市場に出ているすべての駆動装置に適合できるポジショナーにしたいと考えているため、適用されるデバイスの組み合わせ数が膨大になります。」Siemens Process InstrumentationのR&D部門で機械設計者兼シミュレーションエンジニアを務め、SIPART PS2プロジェクトチームの一員でもあるRobin Burger氏はこう述べています。

同社のR&D部門は、Simcenterソリューションを使用して空気圧バルブのデジタルレプリカを作成しました。Simcenter Amesimには、デジタルレプリカを作成するためのシステム機能の物理基盤ともいえる数粕のライブラリが収録されています。Burger氏は次のように述べています。「Simcenter Amesimを使用した高難度なシステムシミュレーションによって、機構部品を作る前に性能を測定、シミュレーションしました。」Simcenter Amesimのシステムシミュレーションには、流体、熱と機械のプロセス、電気信号処理など、異なる領域の相互作用を含みます。Burger氏は続けます。「Simcenter Amesimの利点は、複雑なメカトロニクスモデルを非常に素早く構築できることです。事前定義されたライブラリを使用して、それらを取りまとめて高忠実度と高品質のシミュレーションモデルを完成させました。」

Burger氏は流体特性をシミュレーションするため、Simcenter 3Dも使用しています。「流体シミュレーションはSimcenter Amesimのシミュレーションモデルを微調整するためのものです。Simcenter 3DのデータをSimcenter Amesimにインポートして、モデルを改良しています。Simcenterソリューションのおかげでより強固な製品を作り上げ、顧客の課題を素早く解決できるようになりました。」Burger氏は、こうした微調整を加えた結果、事前準備の時間が短縮され、システムの挙動をより理解しやすくなっています。

Fine-tuning valve digital twins using Simcenter Amesim and Simcenter 3D

予知保全

予知保全は、シミュレーションの強みが発揮できる分野です。Siemens Process Instrumentationは、既存製品の仮想レプリカ、新製品のモデル、試験環境を本格的に導入する予定です。将来的には、顧客自身がそれぞれのアプリケーションでSiemens製品を試験し、仮想モデルを使って最適な構成案を見つけられるようにしたいと考えています。このため、同社のエンジニアは、幅広いメーカーの駆動装置とバルブのデジタルレプリカを扱える、使いやすいWebベースの試験環境の開発に取り組んでいます。デジタルレプリカの役割はこれにとどまりません。実物理試作で得たステータスデータと性能データを使用して、実物がこの先どのように動作するかをシミュレーションできるため、故障の兆しの早期発見につながります。

Burger氏はこう続けます。「実機の試験と平行して、Simcenter Amesimの強力なモデルをクラウド環境でシミュレーションしたいと考えています。機械学習の手法を使って、モデルのパラメータを実機の振る舞いに合致するように調整していけば、実際に動作する部品をリアルタイムで正確チェックできるようになるはずです。」このような予知保全の手法で問題に対処すると、コストのかかるダウンタイムを回避できます。

Simcenterソリューションのおかげでより強固な製品を作り上げ、顧客の課題を素早く解決できるようになりました。
Robin Burger , 機械設計者兼シミュレーションエンジニア
Siemens Process Instrumentation