革新的でコラボラティブ、かつ連携した新規プログラムの管理
Masabaはバルクハンドリング設備の完全なラインアップを設計、製造している企業です。幅広い破砕、スクリーニング、洗浄の自走式および定置式プラントのほか、コンベヤ、サージビン、フィーダーホッパーの充実した品揃えはすべて、最も過酷な環境にも耐えられるように設計、製造されています。
Masaba Inc.は、鉱山機械およびミキサーのメーカーです。Masaba CanadaはMasaba Miningが大量の機械需要を抱えた2009年に設立されました。最初の工場はオンタリオ州ブランプトンにありましたが、カナダ市場の成長に伴って、2013年にオンタリオ州クラークスバーグにより大きな工場を作り、移転しました。
Masabaは自走式および定置式のコンベヤ、サージビン、および破砕や、スクリーニング、洗浄のための機械の完全なラインアップを揃えています。また、顧客の仕様に合わせたカスタム機械も設計します。同社のすべての機械は、最も厳しい作業環境にも耐えるように設計されています。
Masaba Canadaの製造マネージャーを務めるJohn Elmes氏は、「積量の増加、簡単な設置、定置式の特注プラントへの要望が高まっています。特注プラントの場合、すべてが異なり、プランニングが困難です。」と語ります。
Elmes氏は、プロジェクトのタイムラインとスタッフを管理し、鉱山システム製品の納入および材料購入を監督しています。Masabaのカナダ国内の工場には、6つの部署 (切削、加工、ファブリケーション、サンドブラスト、塗装、組み立て) があり、定置式および自走式のマテリアルハンドリングシステムを生産しています。
Masabaの顧客は、注文した製品の生産開始後に、設計変更を求めることがよくあります。Elmes氏はこう説明します。「製作中にお客様から追加の機能を要求されると、最終製品や、生産時間、作業指示に必要な材料がすっかり変更になります。これが当社の重要な課題でした。」
Masabaのシステムは鉱山機械やミキサーの顧客向けであるため、大部分のプロジェクトは気候がよくなる3月初めまでに完成している必要があります。Elmes氏は次のように述べています。「皆さんが同じ納期を希望されますが、受注日はまちまちですので、オペレーションが複雑になります。繁忙期にいかに最大の生産性を達成するかが当社の問題です。」
Masabaは製造の効率化によって、生産性を向上させようと考えました。同社は社内のエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムを使い、生産計画とスケジューリングの改善を図りました。ERPのプランニングとスケジューリングのためのツールは、無限能力計画モデルに基づいていました。顧客への納期から逆算して生産活動の計画が作られ、資源の制約や、既存の作業、資源の投入などは考慮されません。
Masebaには、生産資源の制約が反映され、生産中の製品への顧客の変更要求や、新規受注の影響を管理職が判断できるプランニングとスケジューリングのソリューションが必要でした。こうしたソリューションがあれば、より正確で柔軟なプランニングとスケジューリングが可能になり、優先順位や、スケジュール、在庫計画の変更に合わせてアップデートできます。Elmes氏は「カスタム仕様の機械を作るにあたって最大の課題は、リードタイムを把握し、製造施設の状況に合わせて調整することです。」と語っています。
2019年にMasabaはオペレーション上の障害を回避し、よりよい生産計画と詳細なスケジューリングを作成するため、シーメンスのOpcenter™ Advanced Planning and Scheduling (APS) ソフトウェアを選びました。Opcenter APSは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの提供する、ソリューションとサービスの統合ポートフォリオであるXcelerator™に含まれる、製造オペレーション管理ソリューションOpcenterファミリーの一部です。
Masabaは専門知識を持つSNic Solutionsにサポートを依頼しました。同社はシーメンスのソリューションパートナーであり、製造業におけるオペレーションやサプライチェーンの複雑な問題解決のエキスパートです。SNic SolutionsはOpcenter APSの提供とインストールを実行し、生産計画や詳細なスケジュールによる効率性に関してMasabaに貴重な知見を提供するとともに、オペレーションのロードマップも作成しました。
Opcenter APSは社内のエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) システムの生産計画モジュールと異なり、材料や、ツール、オペレーター、能力など、製造に関する既存の制約条件を考慮した上で、生産計画を作成します。Opcenter APS標準版には対話型のインターフェースが備わっており、製造現場の現在の負荷と日々の変更が納期に与える影響を把握できます。一方、SNic Solutionsはアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API) が付属している上位版を使用して、これまで精密エンジニアリングや、タイヤ製造、食品製造、プラスチック、包装など、業界独自の拡張機能を構築してきました。
製造計画で重要な決定として、能力を増やすために機械を追加するか、人員を追加するかという問題があります。MasabaがシーメンスのOpcenter生産スケジューリングを導入してわかったことは、機械を増やすだけが正解ではないということでした。製造オペレーション管理 (MOM) ソフトウェアでオペレーションを検討した結果、人員の有効活用が機械を増やすよりも効率的であると判明しました。
Opcenterを使用することで、プロジェクトやタイムラインの変更に合わせて、人員を簡単に配置し直せます。Elmes氏によると、「Opcenterによって、人員を別の部署に動かしたら、スケジュールにどう影響するかを見られます。ファブリケーション作業に遅れが生じたら、増員して週ごとの目標を達成します。」
MasabaにとってOpcenterの重要な機能は、what-if分析ができるところです。需要が不透明ななか、Masabaは販売代理店の在庫を膨らませるのではなく、収益性のある受注に応えられる生産体制を確保したいと考えました。Opcenterを使用することで、生産スケジュール作成者は、既存の二つの作業指示の間に、新しい作業指示を挿入し、そのスケジュール変更の影響を正確に判断できました。結果として、同社は「見込み生産」ではなく「受注生産」の作業指示を製造現場に出せるようになっています。
Opcenter導入の第一段階を過ぎたあたりから、Masabaの効率は上昇し続けました。9名からなるファブリケーション部署をさらに活用し、三つ目の作業指示を追加できるようになったのです。ソフトウェアで生産能力の稼働状況をグラフ表示したところ、二つの作業指示はその週までに60%完成していればよく、作業指示をもう一つ追加できることがわかりました。「Opcenterによって非効率性が解消され、機械を追加するだけが正解ではないことも明らかになりました。」とElmes氏は述べています。
Masabaは2020年にOpcenterを社内のERPシステムと統合しました。SNic Solutionsは拡張機能の受注アクセラレータを追加し、社内のERPシステムからOpcenterに部品表 (BOM) を直接インポートできるようにしました。
Masabaがデータ中心アプローチを取り、これまでのオペレーショナル・アプローチから決別したことで、納期に関するタイムラインや、プロジェクト内容の変更に関して、顧客に素早く回答できるようになりました。「Masabaは顧客対応と顧客体験を常に改善しています。作業指示タイムラインの把握と、顧客への納期関連の迅速な対応が、Opcenterによって可能になりました。」Elmes氏はこう語りました。
生産計画とスケジューリングソフトウェアがもたらしたオペレーション効率によって、企業の機械への支出額が減少しています。「製造オペレーション管理におけるデジタル・トランスフォーメーションの第一歩としての生産スケジューリングによって、納期達成率が向上し、不要な設備投資を回避できます。」と話すのは、SNic Solutionsの創業者Nikhil Joshi氏です。
製造効率が向上したことに加え、営業部門がOpcenterを使ってプロジェクトのスケジュールをいち早く顧客に通知できるようになりました。計算されたタイムラインからより多くのデータが得られるからです。Masabaは2020年の納期達成率を15%も改善しました。納品に関するタイムラインが複雑な業界では、これは大きな成果です。