Skip to Main Content
ユーザー事例

作業時間を短縮し、品質を向上し、エラーを削減する射出成形金型メーカー

NXとTeamcenterを使って経営層から工場まで一貫したデータフローを実現するHaidlmair...

Haidlmair

Haidlmairは5か国に8社を構えるグループ企業の親会社です。オーストリアのヌスバッハにある主要工場では、中核事業である各種容器を中心にした射出成形金型に加え、技術部品や自動車部品に使用する金型を製造しています。Haidlmairグループの他の会社は、医療部品やパッケージ部品製造のための熱成形や延伸ブロー成形、またファイルやシート製造のための自動化ソリューションや押出金型を製造しています。

http://www.haidlmair.com
本社:
Nussbach, Austria
製品:
Geolus, NX, NX CAD, NX CAM, NX Mold Designer, PLM Components, Teamcenter
業種:
産業機械

共有する

エンジニアたちはTeamcenterを使うことで、必要なデータを探し回ることなく見つけられるなど、数々の利点を感じています。また、Teamcenterを使った承認プロセスによって事務作業に費やす時間が大幅に減った点も高く評価しています。
Christian Riel, アシスタント・オペレーション・マネージャー
Haidlmair

プラスチック成形で大望を抱く

玩具から事務機器、家庭用品、パッケージ、そして自動車まで、日常使うもので合成素材を一切使用しないものはまずありません。Josef Haidlmair氏はこの金型成形技術の可能性に目を付け、1979年に新しいワイヤカット放電加工 (EDM) 技術を採用し始め、プラスチック部品成形のための金型を開発しました。

現在Haidlmair GmbH (以下Haidlmair) は、主に自動車のラジエーターグリルや食洗器のパネルなどに使われる、より大型で複雑な部品の製造に必要な射出成形金型の大手サプライヤーです。Haidlmairが450人以上の従業員を有し、年間売上高6000万ユーロ近くを達成するグループ企業に成長した理由は、ケースや容器製造に使用する非常に高性能な金型を生成するという高い評価があったからです。

例えば、折り畳み式ケースに使う5つすべての部品は、プラスチックを1ショット (射出) するだけで生成されます。また、びん用ケースの金型は、ケースハンドル部やインモールドラベリングには柔らかめの素材を使用できるように設計されています。これにより商品を運びやすくする一方、ケースの魅力を高めます。

Haidlmairが採用する設計プロセスでは、金型をコンパクトにできるとともに、可動部品の重量の大部分を除くことで、製品全体の重量を削減させます。ゴミ箱のような大きな容器の金型では、これが大きな利点になります。

Think big in plastics molding

3Dモデリング技術をいち早く導入

以前は、成形する部品の図面を顧客がHaidlmairに提供していました。Haidlmairが成功した理由の1つは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが提供するCAD、CAE (コンピューター支援エンジニアリング)、CAM (コンピューター支援製造) を統合した包括的なシステムであるNX™ ソフトウェアを活用して、3Dモデリング技術を駆使したコンピューター支援設計 (CAD) をいち早く取り入れたことでしょう。

「NXを使った私たちの仕事は通常、必要な部品情報を3Dモデルの形で顧客から受け取るとすぐに始まります。抜き勾配の微妙な調整など、部品には手直しの必要なことも多くありますが、スムーズな射出成形に不可欠なこうした対応は、金型設計の初期段階に行っておく必要があります。」Haidlmairでプロセス管理を担当するアシスタントマネージャー、Christian Riel氏はこのように話します。

Haidlmairのエンジニアはこうした作業にNX Mold Wizardを使用します。NXのこのアドオン機能は、ステップバイステップで進めるプロセスによって、金型設計プロセスを自動化し、最適化させます。NXでは、サードパーティの設計データを幅広くインポートし、部品設計の各種機能を利用できます。製造性チェックや高度な分割ツール、コアおよびキャビティインサートの自動生成、収縮率の計算と調整、冷却水配管レイアウトと接続金具、部品表 (BOM) の自動生成といった機能によって、金型特有の設計タスクを自動化する機能が強化されています。また、モールドベースやイジェクターピンのポスト、スライダーおよびリフターといった標準的な金型部品のライブラリもあります。「NXを使わなければ、複雑な金型の設計作業はずっと長い時間がかかるでしょう。NXを使用することで、設計エンジニアは時間をかけて細部をすべて手作業で設計する必要がなくなります。」Riel氏は上記のように話しています。

Haidlmairのエンジニアはこれまでも長い間、NX CAEを使って成形フローの計算に使用するメッシュを生成していましたが、最近ではNX CAEを部品の構造解析にまで広げて使用するようになり、ケースや容器のハンドルやコーナー部が想定した負荷に十分耐える強度があるかを確認しています。

強力な数値制御 (NC) による高精度3軸および5軸加工機を使った高速金属切削は、部分的にEDMに取って代わって使用されるようになりました。NX CAMは、こうした複雑なNC加工機のプログラミングに使用することができ、高度なシミュレーションと検証機能、NCプログラミングを自動化するフィーチャベースの製造機能を提供します。

Early adopters of 3D modeling technology

全社で利用できるレポジトリのデータ

2008年、HaidlmairはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのTeamcenter®をPLMソフトウェアとして使い始めました。Riel氏は次のように話しています。「BOMをERP (エンタープライズ・リソース・プランニング) システムへ自動転送して調達管理するなど、Teamcenterによってエンジニア間のコラボレーションが可能になりました。エンジニアたちはTeamcenterを使うことで、必要なデータを探し回ることなく見つけられるなど、数々の利点を感じています。また、Teamcenterを使った承認プロセスによって事務作業に費やす時間が大幅に減った点も高く評価しています。これを受けて当社は2013年に、設計関連会社やフリーランスエンジニアの作業環境をTeamcenterシステムに完全に統合するプロジェクトを開始しました。」

Riel氏はさらにこう続けます。「Teamcenterを使用することで、各ジョブを実行する機械にプログラムを移植するというポストプロセスを行う工場担当者を含め、全員の作業を大幅に加速させ、簡素化させました。データへのアクセスにはWebブラウザを利用できるため、すべての部品やツールの3Dビューを含むあらゆる情報を全社で利用できます。」Teamcenterを使って直接ポストプロセスを可能にするカスタムのアドオンモジュールを導入したことで、処理はさらにスムーズになりました。

2011年、HaidlmairはTeamcenterの工具リソース・マネージャー・ユーティリティを使った切削工具管理を導入しました。これは、機械設備や治具、締め付け装置、テンプレートの管理にも使用できます。切削工具はコンポーネントやホルダーなどのアセンブリとして表示されるので、工具管理の労力は大幅に軽減しました。工具は3Dでビジュアル化されるため、ミスが起こらないよう実際の様子をチェックできます。「Teamcenterの切削工具管理機能を使用する主な利点は、すべてのプロパティが上位から継承されるため、プロパティの結合が容易なことです。」Riel氏はこのように話しています。

全社で利用できるレポジトリのデータ

製造リソースライブラリとGeolusでプロセス効率を向上

Haidlmairはサードパーティの直接数値制御 (DNC) ソフトウェアを使ってプログラムを複数マシンに分散させてきましたが、最近NX CAMソフトウェアを工場に導入し、オペレーターが機械のプログラミング・インターフェースを使わずにポケットの2.5軸プログラミングを行えるようにしました。これでデータの一貫性はさらに向上し、インターフェースを取り除いたことで、精度が劣化することもなくなりました。

また同時に、これまで使用していた工作機械ライブラリを廃止し、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの製造リソースライブラリ (MRL) に切り替えることにしました。MRLを使用すると、NX CAMユーザーは、Teamcenterの多くの機能を組み込まなくても、NXユーザーインターフェース内でCNCプログラミングに使用する工具を検索、選択、取得できます。

「NXでは公称寸法から10%でも乖離している工具があればそれを特定できるため、適切な工具を検索するプロセスの効率性は期待以上です。」HaidlmairのCAx (コンピューター支援技術) システムアドミニストレーター、Stefan Pendl氏は上記のように話しています。強力な検索メカニズムが効率を大幅に向上させると確信したHaidlmairは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのGeolus®ソフトウェアの評価版ライセンスも取得しました。入力されたものと類似のジオメトリを特定できるこのソフトウェア独自の機能によって、以前に設計された部品を特定しやすくします。これにより設計時間を短縮するだけでなく、何よりその後の工作機械プログラミングの労力を削減させます。

Increasing process efficiency via Manufacturing Resource Library and Geolus

統合によって生まれるパワー

「NXとTeamcenterは、最新の機能を備え、全社で一貫して使える強力な統合ソフトウェア環境を提供します。Haidlmairのように複雑な企業でも比較的容易に実装できます。ビューア機能は、CAxソフトウェアを使用していないユーザーでも使えます。一貫した情報とインテリジェントな自動サポート機能を利用できることで、部品の設計からプログラミング、機械での工具操作に至るまで、生産性を向上させると同時に品質とプロセスの安定性を高めます。」Riel氏は上記のように話しています。

The power of integration
NXを使った私たちの仕事は通常、必要な部品情報を3Dモデルの形で顧客から受け取るとすぐに始まります。
Christian Riel, アシスタント・オペレーション・マネージャー
Haidlmair