Skip to Main Content
ユーザー事例

CAEを活用してエンジン開発の未来を推進

NXとSimcenter 3Dソフトウェアで製品開発サイクルを短縮してプロセスを効率化...

Driving the future of engine development with CAE

Guangxi Yuchai Machinery

Guangxi Yuchai Machinery Co., Ltd. は、自動車、建設機械、農業機械、船舶、発電機などに広く使用される各種モデルの低・中・高出力エンジンを製造する専門メーカーです。

http://www.yuchai.com
本社:
Yulin, Guangxi Province, China
製品:
NX, Simcenter 3D Software, Simcenter Products, Teamcenter
業界 / 業種:
自動車 / 輸送機器

共有

Yuchaiは傑出した製品で市場を開拓し、高い品質で顧客を勝ち取り、イノベーションを通じて未来を切り開きます。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの強力なサポートにより、私たちは輝かしい未来を確実に築きます。
Lu Xianglin, Engineering and Research Institute、CAE検証部門、副部長
Guangxi Yuchai Machinery Co., Ltd.

燃焼機関の業界リーダー

中国最大の内燃機関メーカーであるGuangxi Yuchai Machinery Co., Ltd. (以下Yuchai) は、国家レベルの主要な研究開発 (R&D) プロジェクトに取り組んできただけでなく、中国のエンジン産業の革新的な開発を促進する重要な役割を担ってきました。自動車市場の競争が激化するにつれて、さまざまな市場ニーズが重なり、品質向上や製品多様性、製品アップデートの加速化など、製品設計は多くの課題に直面しています。

コンピュータ支援エンジニアリング (CAE) ソフトウェアは、エンタープライズレベルの情報システムを使用して製品設計サイクルを効果的に短縮させる重要な役割を担っており、製品品質の向上と、より効果的な連携を促進します。Yuchaiは、設計から開発、そしてアプリケーションからサービスにまで対応するパートナーとして、多くのソフトウェアサプライヤーの中からシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアを選びました。YuchaiのEngineering and Research InstituteでCAE検証部門の副部長を務めるLu Xianglin氏はプロジェクトの責任者であり、NX™ ソフトウェアとSimcenter 3Dソフトウェアのメインユーザーでもあります。Lu Xianglin氏とCAE検証部門の構造解析チームの責任者Zhou Yangchun氏は、CAEツールのアップグレードや最適化だけでなく、Yuchaiの開発状況や製品計画にも詳しく、実践経験豊富で独自の見識を有しています。

A leader in combustion engines

プロセス要件と品質要件の厳守

独立エンジンメーカーであるYuchaiは、自動車、建設機械、農業機械、船舶、発電機などに広く使用される各種モデルの低・中・高出力エンジンを製造しています。Yuchaiは新製品を開発する際、各段階の作業を明確に定義した厳密な開発手順を策定しています。製品開発プロセス全体で欠かせない役割を果たしているのがCAE部門です。たとえばCAE部門は現在、主に設計段階で製品プログラムの実現可能性を検証しており、最適なプログラムを選択するうえで重要な存在となっています。

Yuchaiが開発するすべてのエンジンは、Yuchaiの開発手順に従って包括的なCAE解析を受けています。解析の結果、製品品質の向上や開発サイクルの短縮に大きく貢献する、建設的な改善案を数多く得られます。またCAE部門は、テスト段階での故障解析中にトラブルシューティングやその他のプロセスを迅速に処理できる点でも重要な役割を果たしています。たとえば以前、Yuchaiが開発したエンジンモデルのバルブとピストンとの間で衝突が発生したことがありました。原因を突き止める作業は当初、難航しました。その後、CAE部門のスタッフが関与すると3日以内に原因を特定し、機械加工プロセス中にサプライヤーがマーキングを誤ったことで組立エラーが起きていたことが分かりました。

こうした事例が、CAEソフトウェアの利点を十分に立証しています。他にも多くのCAEソリューションがある中、Simcenter 3Dソフトウェアは、適合性、精度、信頼性、その他多くの点で高く評価され、Yuchaiに採用されました。Simcenter 3D (以前のNX CAE) は、NXプラットフォーム上に構築されているため、NXのCADツールとともに使用するとCADとCAE間のシームレスな操作が可能です。ほぼ20年間のYuchaiのイノベーションと開発を支えてきました。

市場の変化と課題

自動車市場の競争が激しくなるにつれて、高品質、多様性、柔軟性が製造の重要な要素になりました。Lu氏とZhou氏によると、市場の需要が変化してきたことで企業の戦略や意思決定に影響を及ぼすだけでなく、製品開発に多くの問題や課題が出現しているということです。

まず、個別仕様のカスタマイズ製品を求める市場ニーズにより、製品カテゴリーはますます増えています。エンジン開発にはさまざまなCAEシミュレーションと解析が必要ですが、シミュレーションは製品開発全体を通じて行われるため、CAE解析のニーズに比べて解析リソースが限られており、CAE解析の結果を速やかに設計エンジニアにフィードバックできません。

システムが複雑化すると、製品開発プロセスのさまざまなタイミングで部門間の協力が必要になりますが、設計者とCAEアナリストは別々の組織に所属していることが多いため、それぞれの作業を相手に伝達し、調整しなければなりません。CAEアナリストは改善点を提案し、設計エンジニアはそれに応じて修正を加えます。このサイクルが何度も繰り返されるうちに、CAEのスケジュールがどんどん厳しくなり、CAE解析の能力を十分に活用できなくなります。

さらに、Yuchaiでは従来、CAEアプリケーションはそれほど広く使用されておらず、数人のCAEエンジニアがシミュレーションに使用するくらいでした。ほとんどの部品で構造的な最適化がなされていないため、製品設計エンジニアはCAEの必要性をますます訴えるようになりました。

また、複雑なシミュレーションモデルの準備過程ではデータ処理の問題もありました。CAEソフトウェアにインポートするCADデータの変換と修正に長時間かかり、モデルの不備も増えてきました。

最終的にCAEチームのタスクは非常に困難になりました。即座に解析を開始できることはほとんどなく、通常は、未処理の大量のCAEタスクをまず片付けなければなりません。CAEの解析結果はその後数日、場合によっては数週間経たなければ設計エンジニアに届けられません。解析作業がボトルネックとなり、プロジェクトの進捗に遅れが生じました。CAE解析を行う前に、試作用デザインがリリースされてしまうこともありました。

Market changes and challenges

信頼できるパートナーと優れたソリューション

2000年初め、YuchaiはNXソフトウェア製品を使い始めました。現在では、NXを設計ソフトウェアとして、またSimcenter 3DとTeamcenter®ソフトウェアの統合CAE機能を製品データ管理 (PDM) ソリューションとして使用しています。主な用途は製品設計、設計図面、金型作成、CAE解析です。Yuchaiは、Simcenter 3Dソフトウェアの適用範囲を広げたことで、市場ニーズに応じて開発工数を割くことができるようになっただけでなく、製品開発サイクルを効果的に短縮し、開発と設計のプロセス全体を効率化してきました。

Simcenter 3DをYuchaiのシミュレーションソフトウェアとして選択することを議論したとき、Lu氏とZhou氏はそれぞれの体験に基づいて他の複数の製品を分析し、比較検討しました。その結果、複数の要因がSimcenter 3Dを支持する決定を後押ししました。

Simcenter 3DはNXプラットフォーム上に構築されているため、NXをCADツールとして使用している設計者は、作業環境を変えずにSimcenter 3Dを使用することができます。ユーザーは、使い慣れたNXインターフェースの中でCAD機能を使用しながらシームレスにCAE解析へ移行できます。このソフトウェアの使いやすさからユーザーが増えてきました。

Simcenter 3DとTeamcenterはシームレスに統合されているため、CAEユーザーはCADモデルデータをTeamcenterから直接読み取ることができます。一方、他のCAEソフトウェア製品は中間形式を介してCADデータを読み取る必要があるため、CADモデルデータの損失を招きかねません。

Simcenter 3Dソフトウェアは、開発やカスタマイズを加えることが比較的容易です。また、1対1のトレーニングやオンライン技術サポートなど、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの専門技術者から細かなサポートが受けられます。Simcenter 3Dには、内部オブジェクトにアクセスできるアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API) がいくつか含まれ、カスタマイズに使用できます。こうしたAPIを使ってユーザーは多様な自動化プログラムを開発し、NXとSimcenter 3Dの機能をカスタマイズできます。また、ステップバイステップのプログラミング用ウィザードを使ってシステム機能を簡単に追加できます。

Simcenter 3Dの自動メッシュ生成機能は非常に優れているため、サードパーティーソフトウェアの補完的な使用は不要です。100万自由度のモデルであれば、わずか10分でメッシュを生成できます。他のメッシュ生成ツールで発生する複雑なプリ処理もなく、簡単に素早く生成できます。

Trusted partner, outstanding solutions

カスタムプログラミング、最適化、カスタマイズ

絶えず進化するYuchaiは、ビジネス要件に合わせてCAEの使い方も変えました。つまり、CAEの作業を「革新」段階のものと「成熟」段階のものに分けました。成熟段階の処理では、単純で反復的な作業を担います。NXでは、CAEの専門家がSimcenter 3Dを使って開発した簡潔で使いやすいシミュレーションテンプレートを利用することで、こうした作業の自動化を可能にします。設計者がこのテンプレートを適用すると、ガイド付きCAE解析プロセスを実行できます。Yuchaiは、NXとSimcenter 3Dのプログラミング機能を使って3つのCAEテンプレートを開発し、設計者に提供しています。

NXをSimcenter 3Dとともに使用することでYuchaiではもう1つの変化も起きています。設計エンジニアは、CAE部門にシミュレーションを依頼したり、モデルを待ったり変換したりする必要がなくなり、部品設計を自分で解析できるようになったため、時間の大幅な削減につながり、プロジェクト全体を通じてCAE解析を効果的に実行できるようになりました。それと同時に、設計エンジニアはCAEを使って複数の設計案を解析し、どの案を試作に回すべきかを判断できます。大きな利点は、NX CADモデルを修正するとSimcenter 3Dの解析モデルは自動的に更新されるため、エンジニアは複数の設計案を素早く比較できることです。

さらに、解析テンプレートを使用することで、設計エンジニアは部品のシミュレーションと解析にCAE解析の専門知識を取り入れられます。テンプレートの使用には特別な学習も不要で、設計エンジニアの作業を変える必要もありません。エンジニア主体の解析は効果的に機能し、専門家によるCAE解析を補完します。

Yuchaiは製品の継続的なイノベーションと開発により、各計算プロセスを標準化して独自のシミュレーションプロセスとデータベースを構築し、設計の専門知識を社内に築く必要があることをLu氏とZhou氏は強調します。同社は、シミュレーション専門のエンジニアが結果の解析に集中できるように、今後も引き続きプログラムを徹底的にカスタマイズするとともに、設計エンジニア向けにより使いやすいツールを開発する予定です。Yuchaiはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアと連携し、さらなる成果を目指して能力を継続的に向上させます。「Yuchaiは傑出した製品で市場を開拓し、高い品質で顧客を勝ち取り、イノベーションを通じて未来を切り開きます。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの強力なサポートにより、私たちは輝かしい未来を確実に築きます。」Lu氏はそう語ります。