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ユーザー事例

大学のレーシングカー製造クラブ、シーメンスPLMソフトウェアで作成した設計と得られた経済的持続可能性により、学生フォーミュラの競技会で勝利

E-Motion Rennteam Aalenは、NX、Teamcenter、Simcenterソリューションを使用して電動レーシングカーの設計を合理化...

Students at E-Motion Rennteam Aalen use various Siemens Digital Industries Software solutions to build the digital twin of the car. All images unless stated otherwise: E-Motion Rennteam Aalen

E-Motion Rennteam Aalen

Aalen応用科学大学 (Aalen UAS) の学生によって2009年に設立されたE-Motion Rennteam Aalenは、非営利の大学公認団体です。同団体はは、学生フォーミュラ・シリーズに参戦する電動レーシングカーを毎年新たに設計、製造しています。2019年には、ドライバーレス・クラスにも参戦し始めました。

http://www.emotion-rennteam.de/
本社:
Aalen, Germany
製品:
NX, Simcenter Products, Teamcenter
業種:
自動車 / 輸送機器

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Teamcenterを使用すると、設計のバージョン、バリエーション、変更を通じて、製品開発プロセス全体を簡単に管理、文書化、追跡できます。
Felix Herzog, CTO
E-Motion Rennteam Aalen

有資格の即戦力エンジニアたち

Aalen応用科学大学 (Aalen UAS) の提供する教育は、理論上の知識だけではありません。Aalen UASは、デジタルネットワーキング、健康、eモビリティから再生可能エネルギー、フォトニクス、ロボット工学まで、地元企業が必要とする高度な有資格スペシャリストへと学生を育成します。

Aalen UASで工学を学ぶ学生は、求人市場の需要を満たす高度な設計スキルを習得するために、電動レーシングカーのレースにも参加しています。非営利の大学登録団体として2009年に設立されたE-Motion Rennteam Aalenは、自分たちでゼロから設計、製造したレーシングカーで18のレースに参戦する、世界の600超の大学チームの1つです。

学生フォーミュラは、エンジニアにとって世界最大の競技会です。このレースに勝利するには、単に規定のラップを走行して最初にゴールを切るだけでは不十分です。加速タイムを競う「アクセラレーション」、「スキッドパッド」コーナリング、「オートクロス」予選レース、22キロ耐久「エンデュランス」レースに加えて、エンジニアは「プレゼンテーション」で車両を紹介し、開発プロセスを説明する必要があります。自動車業界の著名人とプロのレース審判で構成される審査委員会が出場車両の設計と製造、その基礎となったビジネスプランとコストを評価します。

E-Motion Rennteam Aalenは当初から電動レーシングカーに焦点を絞り、2012年に最初のモデルを発表しています。2018年には、学生フォーミュラのドライバーレス・クラスに出場する車両も開発しました。

E-Motion Rennteam AalenのCTO (Chief Technology Officer) であるFelix Herzog氏は次のように語っています。「機械工学、電気工学から財務、マーケティングまで、幅広い分野にまたがる組織でさまざまな学部の学生が協力し、期限やリソースが限られてプレッシャーのかかる状況下で共通の目標を達成しています。彼らは、大学を卒業するとすぐに高い生産性を発揮できる即戦力のエンジニアです。」

The E-Motion Rennteam Aalen is a group of students at the Aalen University of Applied Sciences who design and build electric race cars to compete in the Formula Student racing series.

The E-Motion Rennteam Aalen is a group of students at the Aalen University of Applied Sciences who design and build electric race cars to compete in the Formula Student racing series.

エンジニアリングの課題としての「メンバーの頻繁な入れ代わり」

E-Motion Rennteam Aalenは、Aalen UASの複数の学部の55名の学生で構成されています。なかでも工学部の学生は、1車両あたり数百にのぼる部品を設計しています。

E-Motion Rennteam Aaleの元最高経営責任者 (CEO) でAalen UASの卒業生でもあるCarolin Reichelt氏は次のように語っています。「2014年まで使用していた、複数のCADを使う環境には多くの課題がありました。学生たちは、複数のソフトウェアパッケージのさまざまなユーザーインターフェースに慣れる必要がありました。Stepのようなニュートラルファイル・フォーマットへと標準化することは、モデル詳細化のレベルを下げてしまうと考えられていたのです。」

もう1つの課題は、メンバーの頻繁な入れ代わりです。Herzog氏は言います。「多くの学生は1~2学期間だけチームに加わります。メンバーは、レースシーズン中に学んだことは共有しているので、知識はチームに蓄積され、失われることはありませんが。」

この課題を克服する手段としてE-Motion Rennteam Aalenは、コンピューター支援設計 (CAD) ソフトウェアを標準化し、製品ライフサイクル管理 (PLM) ソフトウェアを導入しました。移行をできるだけスムーズにするために、修士論文でも新たなソフトウェアの導入を論証しました。

For all mechanical design work and some verification, E-Motion Rennteam Aalen uses NX software.

For all mechanical design work and some verification, E-Motion Rennteam Aalen uses NX software.

NXとTeamcenterで設計を成功させる

E-Motion Rennteam Aalenのエンジニアは、シーメンスPLMソフトウェアのCAD用NX™を使用して、非常に複雑なレースカーの3Dモデルを作成しています。「モデルには、最初からネジやフランジ、ケーブルタイがすべて含まれています。非常に詳細なモデルなので、製造段階になって問題が露見する事態を避けることができます。」とHerzog氏は言います。

部品の生産には、大学のインフラストラクチャを利用しています。機械加工部品の多くを製造するのはスポンサーですが、炭素繊維強化プラスチック (CFRP) のボディワークはすべて、チームが大学の作業場で製造しています。

Herzog氏は次のように述べています。「NXで作成したCADモデルは品質が良く充実度も高いため、時間や労力をかけなくても完璧に仕上ります。これが耐久レースでの勝利に直結します。」製品データ管理とワークフロー駆動型コラボレーションには、シーメンスPLMソフトウェアのTeamcenter®を使用しています。このPLMシステムは、メンバー同士とプロセスをデジタル・スレッドで接続してイノベーションを進め、従来の部門間障壁を取り除きます。

Herzog氏は次のように説明します。「Teamcenterの直感的なユーザーインターフェースを使用して、メンバー全員がレーシングカーの開発プロセスに参加しています。NXを含むすべてのシーメンスPLMソフトウェアソリューションと緊密に統合されているTeamcenterを使用すると、設計のバージョン、バリエーション、変更を通じて、製品開発プロセス全体を簡単に管理、文書化、追跡できます。」

E-Motion Rennteam Aalenは、(非技術的な作業を行うメンバーを含む) メンバー全員がTeamcenterを簡単に使えるように、究極にスリムなプロセス構造でソフトウェアを実装しました。Reichelt氏は次のように補足します。「これで講義や試験で時間に追われる学生たちは、話し合いがなくても常に最新のプロジェクト状況を把握することができます。時間を大幅に節約できるので、TeamcenterはE-Motion Rennteam Aalenのすべてのメンバーにとって、無くてはならないツールとなっています。」

Design work at the E-Motion Rennteam Aalen involves all engineering disciplines and includes vehicle assembly in a workshop provided by at the Aalen University of Applied Sciences. Photo: P. Kemptner

Design work at the E-Motion Rennteam Aalen involves all engineering disciplines and includes vehicle assembly in a workshop provided by at the Aalen University of Applied Sciences. Photo: P. Kemptner

熱挙動とコストの予測

Teamcenterを使用すると、エラーの再発を防止できます。さまざまなシミュレーションを実行することもできます。E-Motion Rennteam Aalenは、車両の冷却システム設計の検証で、シーメンスPLMソフトウェアSimcenterポートフォリオのSimcenter Amesim™を使用し、メカトロニクスシステムのモデリングと解析を行っています。

Herzog氏は次のように述べています。「Simcenter Amesimは、システムの油圧、空気圧、熱、電気、機械的挙動を表現する数式を使用してモデルを記述します。これにより、CADで形状を詳細にモデリングする前に、冷却システムの挙動をシミュレーションできます。」

予測可能性は、レーシングカープロジェクトの商業的可能性の観点からも重要です。どのような製品設計でも、コストは決定的な要因です。学生フォーミュラの競技会には、「コスト」や「製造」を競うイベントも含まれています。「コスト」を競うイベントでは、出場チームは車両の重量 (計算値)、コンポーネント、製造ステップを記述したコストレポートを提供し、説明しなければなりません。

このためE-Motion Rennteam Aalenのマネジメントは、シーメンスPLMソフトウェアTeamcenter®製品原価計算ソリューションを導入しました。このソフトウェアは、計算を作成、管理するプラットフォームです。エンタープライズリソースプランニング (ERP) ソリューションとPLMソリューションの間でデータを交換する機能を提供します。製品原価計算では、詳細な製品構造に基づく計算手法を使用して、材料の使用と処理コストを定義します。Teamcenterを使用すると、さまざまな部門が共同作業をすることができます。

このTeamcenter導入の成功も、科学的に論証しました。E-Motion Rennteam Aalenのコストレポートチームを2年間率いたビジネス工学部の学生、Andreas Gayer氏がこれを論証する学士論文を書いています。彼は、学生フォーミュラの競技会で優勝する鍵となる、ソフトウェアの導入を担当しています。

Using Teamcenter, E-Motion Rennteam Aalen members share the knowledge required to build a digital twin of the cars and their components

Using Teamcenter, E-Motion Rennteam Aalen members share the knowledge required to build a digital twin of the cars and their components

Predicting thermal behavior and costs
NXで作成したCADモデルは品質が良く充実度も高いため、時間や労力をかけなくても完璧に仕上ります。これが耐久レースでの勝利に直結します。
Felix Herzog, CTO
E-Motion Rennteam Aalen