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ユーザー事例

プリント基板の振動解析を自動化してエラーを削減、100倍超の高速プロセスを実現

NX Openを使用して設計と解析の反復プロセスを自動化することで、操作を高度に効率化および標準化...

Automated circuit board vibration analysis reduces errors and results in 100x faster process

Design Automation Associates

Design Automation Associates Inc.は、ナレッジベースのエンジニアリングおよび機械エンジニアリングのコンサルティングサービスを提供しています。

http://www.daasolutions.com
本社:
Suffield, Connecticut, United States
製品:
NX, NX CAD, NX Open, Simcenter 3D Software, Simcenter Nastran, Simcenter Products

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SimcenterとNXの機能はトップクラスです。
John Lambert, 社長兼CEO (最高経営責任者)
DAA

エンジニアの連携

1995年、United Technologies社の3人のエンジニアにより設立されたDesign Automation Associates Inc. (DAA) は、企業の製品開発と構成プロセスの自動化支援を中心として広範囲にわたるエンジニアリングコンサルティングサービスを提供しています。現在は20名の社員を擁し、回転装置、電子回路パッケージング、産業機械、航空宇宙、軍事、自動車など幅広い産業で事業を手掛けています。

豊富な経験に基づいて自動化に適した作業を洗い出した結果、ETO (受注設計) 製品とCTO (受注構成) 製品の設計と解析が最も自動化に適していることが判明しました。「エンジニアリング設計とエンジニアリング解析の両分野において、反復作業が課題になっています。受注設計製品および受注構成製品は特に、何度も繰り返し設計しなければならない部品があるため、自動化によって大幅な時間の削減が見込めます。」とDAA社の社長兼CEOであるJohn Lambert氏は述べています。

Lambert氏は、電子回路パッケージングでの具体例として、ETOプリント基板 (PCB) に必ず実施される有限要素解析 (FEA) を挙げます。「新しい注文のたびに、プリント基板の再エンジニアリングが必要です。解析技術が非常に優れていたとしても、手動で行わなければならない作業が多くあります。」とLambert氏は説明します。通常、負荷の計算や解析結果の評価なども手動で行っています。Lambert氏は続けます。「解析結果の解釈の基になる計算など、こうした計算の多くには、他社との差別化を図るための独自の知的財産 (IP) ともいえる特殊な手順が含まれています。企業固有であるがために、大半のロジックと演算部分は市販の解析ソフトウェアに簡単に追加できるものではりません。」

これまでは、1つのETO製品の解析プロセスに40時間もかかっていました。Lambert氏はこう付け加えます。「同じ解析プロセスを1年に100~200回も繰り返す会社もあるほどです。問題は時間と費用だけではありません。手動計算に大きく依存していたために、ミスが混入する可能性が絶えずありました。」DAAはさまざまな方法で自動化を試みてきましたが、ほとんどがマクロを使用したものであり、Lambert氏によれば「20年前のテクノロジー」です。

マクロを超えるもの

DAAのエンジニアは先進的な複数の設計 / 解析ソリューションを使用していますが、複雑な自動化処理、反復解析、設計と解析のループ処理はシーメンスPLMソフトウェアのNX™ソフトウェアに依存しています。高度な解析には、いずれもシーメンスのSimcenterポートフォリオであるSimcenter 3Dと Simcenter Nastranの両方を使用します。Lambert氏は次のように述べています。「NXツールセットの機能はトップクラスです。Simcenter 3DとNXを使用して、モデリング機能と解析機能を統合したほか、NX Openも使用しています。NX Openは、Simcenter 3DとNXに組込まれたアプリケーションプログラミングインターフェース (API) です。DAAでは、より複雑な自動化にはカスタムコーディングとNX Openを組み合わせて使用します。「当社が重点的に取り組んでいる問題には、すぐに利用可能な機能で対応できるレベルを超えた複雑さと自動化が必要です。だからこそNX Openを使っています。」とLambert氏は述べています。

自動化の例として、Lambert氏は航空宇宙アプリケーション向けのプリント基板 (PCB) の有限要素解析を紹介してくれました。「これは反復処理が必要な典型例です。というのも、PCBには実装部品やマウント部品など、非常に多くの可変要素が含まれているからです。また、ランダム振動を受けるPCBの場合、スペクトルによっては1つまたは複数の禁止領域が生まれます。周波数を少しずつ変化させながら、禁止領域を避け、低振動領域に移動する必要がありますが、そうすることで負荷と応力を増加させてしまうため、簡単ではありません。周波数を動かすときには、負荷を再評価しなければなりません。またしばしば電子回路パッケージングでは、互いに近い周波数を持つコンポーネントがあるため、相互に増幅します。適切な周波数とPCBの電気的な堅牢性のバランスを実現するのは、消耗する反復ゲームのようです。」

DAAで使用しているこのプロセスの自動化機能は、ユーザーにはあたかもNXのネイティブ機能のように見えるものであり、Simcenter 3DとSimcenter Nastran®ソフトウェアを使用したジオメトリのモデリング、FEAプリ /ポスト処理、解析が含まれています。NXのPCBジオメトリモデルを作成すると、有限要素メッシュが自動的に作成され、材料特性が正しく割り当てられます。次は反復的な周波数抽出解析 (Simcenter Nastranソリューション103) です。DAAがNX Openで作成したカスタムコードにより、結果がランダム振動スペクトルと比較され、PCBの振動周波数がランダム振動曲線上の禁止領域から外れるまで、反復ループとPCB形状の変更が繰り返されます。その後、負荷を求めるカスタム計算、応力とゆがみの解析 (Simcenter Nastranソリューション101) と続きます。追加のカスタムコードにより、解析結果と業界およびプロセスのナレッジを照らし合わせ、寿命予測と材料の許容差比較が行われ、最終的に設計の妥当性を評価します。妥当でない場合は、プロセスが最初から再び始まり、設計の構造健全性が適切になるまで、反復を継続します。

この例では熱解析を行っていませんが、含めることもできるとLambert氏は述べています。「通常は熱解析も行うべきでしょう。熱解析も自動化処理に含めることもできます。」

Way beyond macros

大幅な時間短縮とエラーの削減

自動化による最大の利点は、PCBの例で説明したように、時間の短縮です。以前は40時間かかっていた解析を今では自動プロセスにより15分で終えられる様子をLambert氏は目の当たりにしています。

もちろん、自動化の作成には時間がかかりますが、DAAはかかる時間を見積もる確かな経験則があります。Lambert氏は説明します。「ある程度ロバストな自動ルーチンを作成するには、1度の反復処理の約10倍の時間がかかります。ですから、すべてが自動化に適しているとは限らないのです。ほんの数回しか行わない解析であれば、おそらくそれだけの価値はないでしょう。しかし、年に25回、100回、200回と行う解析なら、自動化は非常に理にかなっています。」ここで説明されているような自動化を作成するには、どのくらいのプログラミングスキルが必要なのでしょうか。Lambert氏はこのように答えています。「中程度のプログラミング能力を持つ人が必要です。ジャーナル機能によって多数のNX Openコードが作成されますが、知っておくべきことはコードの開き方、編集方法、拡張方法だけなので、単なるキーストロークの記録ではなく、汎用アプリケーションにより適しています。」

Simcenter 3Dを使用した反復プロセスの自動化には、他にもメリットがあります。自動化してもNXの見た目と操作感は保たれるので、NX CADに慣れたユーザーは最小限のトレーニングで自動化を使用できるようになります。また、解析エンジニアのエキスパートがプロセスを自動化した後は、少しの教育とトレーニングでユーザーがプロセスを実行できるため、解析エンジニアの負担が減り、より難易度が高いプロジェクトに取り組むことができます。プロセスの自動化には、プロセスを標準化し、手動計算による人的ミスを排除するという効果もあります。

DAAはNX Openの自動化を使用して大きな成功を収めているため、Lambert氏はこのソフトウェアのプログラミング機能を活用している企業があまり多くないことに驚いています。「NXとSimcenterには非常に強力な自動化機能があります。当社の顧客にもこのような自動化に対するニーズが大くありますが、その機能が使用されているのをほとんど見たことがありません。プロセスの頻度によっては、NX CAD環境のシミュレーションプロセス自動化は投資する価値が十分あるでしょう。」

当社が重点的に取り組んでいる問題には、すぐに利用可能な機能で対応できるレベルを超えた複雑さと自動化が必要です。だからこそNX Openを使っています。
John Lambert, 社長兼CEO (最高経営責任者)
DAA