革新的でコラボラティブ、かつ同期姓を確保した新規プログラムの管理
1980年に創業したASA Hydraulik GmbHは、熱システム、接続技術、流体制御を製造する企業です。オーストリアのウィーンに本社を置き、5か所の拠点に300名以上の従業員を擁しています。モジュラー、セミカスタムラジエーター、補償装置、バルブ、振動吸収装置、ポンプ、フィルターを世界中の車両、移動式 / 据置型機器メーカーに供給しており、年間収益は5,000万ドルに迫ります。
熱電併給設備などの据置型機器、移動式建設 / 農業機械、トラック、機関車では、熱や冷却剤だけでなく、燃料、空気、潤滑油が確実に流れる必要があります。
ASA Hydraulik GmbH (ASA Hydraulik) は、エンジン駆動システムの熱システム、接続技術、流体制御の設計、製造、試験を専門とする企業です。標準 / カスタムラジエーター、タンク付属品 (鋼 / ゴムの補償装置、バルブ、振動吸収装置など)、ポンプ、フィルターを提供しています。ASA Hydraulikは、こうした重要コンポーネントの大手独立系サプライヤーです。4大陸に5つの製造拠点を持ち、世界の車両、移動式 / 据置型機器メーカーに製品を提供しています。オーストリアのウィーンに本社を置き、振動試験台、腐食試験室、風洞を備えたテクノロジーセンターも運営しています。
1980年に創業したASA Hydraulikは、年間売上高の少なくとも7%を研究開発 (R&D) に投資しています。このポリシーを貫くことで、競合他社に対する技術的な優位性を確立できると考えています。創業期には、史上初めて標準的なクーラーレンジを提供し、コスト効率の向上とリードタイムの短縮を達成しています。1988年には、フィルターとプレート熱交換器を統合したコンパクトで用途の広い水冷ユニットを開発しました。さらに2000年には、世界初のラジエーター用フレキシブル接続システム、2009年にはASAレールシステム (初のフレキシブル実装 / 接続システム) の特許を取得しています。
ASA Hydraulikの提供する熱システム製品グループには、標準のラジエーターに加えて、過酷な環境や危険な場所に特有の要件を満たす複数の製品ラインと、包括的なセミカスタム冷却システム用キットコンポーネントのHレンジが含まれています。
市場調査によると、再生可能エネルギー源による発電や電気自動車で現在使用されている技術には、依然として熱放散の問題があります。
「当社は、この分野のテクノロジーリーダーとして40年近くの経験があり、適切な解決策を見つけられるはずだと思いました。」と、ASA Hydraulikの製品マネージャー、Rainer Lindbichler氏は述べています。「2017年に、E-loopシリーズをポートフォリオに追加することを決めました。E-loopシリーズは、成長する電化市場に特化した新たな冷却ソリューションシステムです。」
冷却チェーン全体に完全なシステムソリューションを提供するE-loop (Electrification Loop) シリーズには、移動式 / 据置型パワーエレクトロニクス、バッテリー、電気モーターの冷却に必要なすべてのコンポーネントが含まれています。ASA Hydraulikは2019年の初頭にE-loopシリーズを発売する計画を立てましたが、その時点で、市場投入可能な製品を開発 (設計、検証、試験を含む) するのに費やせる時間はわずか12か月しかありませんでした。
ASA Hydraulikは、コンピューター支援設計 (CAD) で、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのSolid Edge®ソリューションを10年以上使用していました。「この3Dモデリングソフトウェアは習得しやすく、設計の自動化に大いに役立っています。」と、ASA Hydraulikの最高技術責任者、Jürgen Feyerl博士は述べています。「Solid Edgeは既存の設計の再利用をサポートする機能も備えていますが、この機能はASA Hydraulikのモジュラー製品には特に重要です。」
複雑な冷却システムの設計にかかわるのは、機械工学だけではありません。コンパクトで効率的な設計を実現するためにエンジニアは、内部の形状を最適化して、空気と液体の最適な流れを確保する必要があります。「物理試作品を使用して冷却システムの設計を検証、改善することは現実的ではありません。」とLindbichler氏は言います。「当社では、時間とコストを抑制するために、数値流体力学を使用しています。」
ASA Hydraulikは以前、予測エンジニアリングを専門とするオーストリアのエンジニアリング会社であり、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのパートナーACAM Systemautomationの一部でもあるACAM Engineeringのサービスを利用していました。現在ASA Hydraulikは、さまざまな形式のシミュレーションを使用して、顧客の設計のデジタル・ツインを解析し、製品特性を予測して最適化しています。
「この専門知識とソフトウェア技術は、ASA Hydraulik製品の設計を成功させる鍵となる要素です。」とFeyerl氏は言います。「E-loopシリーズの設計プロジェクトを開始するにあたり、社内の機能を強化し、必要なソフトウェアに投資することにしました。」
ASA Hydraulikのニーズを反映した要件仕様に基づいて、熱システム設計のスペシャリストが主要なシミュレーションソフトウェア製品を評価して選定しました。「最終候補に残ったのは3つです。」とLindbichler氏は言います。「これら3つはいずれもASA Hydraulikの技術要件を満たしていましたが、価格 / 性能比が最も優れていたSimcenter 3Dを採用することにしました。」
ASA Hydraulikのエンジニアは、設計全体の温度変化と空気 / 媒体の流れを計算するために、SimcenterTM 3D FlowとSimcenter 3D Thermalソフトウェアを使用しています。このパッケージは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの包括的なシミュレーションソフトウェア / 試験ソリューション・スイートであるSimcenterポートフォリオの一部です。数値流体力学 (CFD) に基づくこのソフトウェアは、数値解析とデータ構造を使用した逐次近似により、流体の流れ / 挙動に関する問題を解析して解決します。
このソフトウェアを選んだ決め手の1つは、ACAMのシミュレーション専門家からサポートを受けられることでした。ACAMのシミュレーション専門家はSimcenter 3D FlowとSimcenter 3D Thermalを使用しており、ASA Hydraulikの設計問題にも精通しています。もう1つの決め手は、このソフトウェアに組み込まれた完全なパラメトリック3DフィーチャーベースCADモデラーです。ソフトウェア内で直接ジオメトリを作成、変更できます。Simcenter 3Dには、Solid Edgeとの完全な互換性と結合性があります。
「Simcenter 3Dは完全なCAD機能を備え、シミュレーションと同じソフトウェア内で変更を加えることができます。」とFeyerl氏は言います。「このソフトウェアはSolid Edgeと完全に結合するため、成功した設計バリエーションを元のモデルへフィードバックするのに数秒しかかからず、設計を継続的に最適化することが容易になります。」
ASA Hydraulikは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアのSimcenter 3D FlowとSimcenter 3D Thermalを使用して数値流体力学 (CFD) シミュレーションを実行し、温度変化 (左) や流速 (右) などの基準に合わせて設計を最適化しています。
「ソフトウェアのユーザーインターフェースは、エンジニアがSolid Edgeで使い慣れているものと同じ直感的なデザインだったため、非常に短時間で生産性が上がりました。」とFeyerl氏は言います。「CFDシミュレーションにSimcenter 3Dを使用することで、構築して解析する物理試作回数を大幅に減らすことができました。」
「Solid EdgeとSimcenter 3Dを使用して、1年弱で新たなレンジの冷却製品を開発することができました。」とLindbichler氏は述べています。「Simcenter 3D FlowとSimcenter 3D Thermalを使用したCFDシミュレーションにより、E-loopシリーズのサイズとエネルギー効率を最適化して、競合を抑えることができました。」