本文へ移動

株式会社アストロスケール

FemapとNX Nastranが最先端の宇宙開発をサポート

株式会社アストロスケール

FemapとNX Nastranが最先端の宇宙開発をサポート

PDFリンク
quotation marks "Femapは、複雑な解析ニーズを満足させてくれますし、何よりとにかく操作が簡単だということが素晴らしいと感じています。私自身は過去に様々な構造解析専門のソフトを触ってきましたが、その中でもFemapは特に使いやすく、痒いところに手が届くような感じを持っています。" 荒木 友太 氏, 株式会社アストロスケール Engineer
quotation marks "Femapのメッシュ作成の機能が使いやすく、操作が直感的なのが良いです。自動メッシュ作成でも品質の高いメッシュが作成できますし、そのあとにマニュアルで調整するのも簡単です。インポートしたCADデータから面要素を作成するのも容易ですし、必要があればFemapのジオメトリー修正機能を使えるので、元のCADデータを修正してもらうといった余計な手戻りもありません。" 荒木 友太 氏, 株式会社アストロスケール Engineer
quotation marks "Femapは、複雑な解析ニーズを満足させてくれますし、何よりとにかく操作が簡単だということが素晴らしいと感じています。私自身は過去に様々な構造解析専門のソフトを触ってきましたが、その中でもFemapは特に使いやすく、痒いところに手が届くような感じを持っています。" 荒木 友太 氏, 株式会社アストロスケール Engineer

宇宙開発のリスクを削減

近年、国内外での民間による宇宙開発が進んでおり、宇宙空間の有効な使い方に興味が集まっています。しかし、開発の進行とともに、宇宙の「ごみ」とも言うべきスペースデブリの危険性に注目が集まっています。地球上空には膨大な数のスペースデブリがあり、10cm以上のものに限っても20,000個以上、1mm以下のデブリに至っては1億個以上あることが明らかになってきています。このデブリが今、有人ミッションは言うまでもなく、人工衛星などの機器に対しても大きなリスクになっています。

スペースデブリを除去し、宇宙開発のリスクを軽減することを目的に2013年にASTROSCALE PTE. LTD.がシンガポールで創立されました。そして、研究開発拠点として2015年2月に東京に設立されたのが、株式会社アストロスケールです。10名ほどの従業員はすべて技術者という同社では、Femapなどの最新技術を駆使して効率的な技術開発を行っています。

「会社の設立は2015年2月ですが、実際に開発を始めたのは4月からです。我社として初めての衛星IDEA OSG 1は、デブリのデータ収集を目的にしており、打ち上げを2016年の後半に予定しています。実用まで2年以内というスピードで開発するために優れた構造解析ソフトが必要です。」と、株式会社アストロスケール代表取締役である伊藤美樹氏は言います。

元々、様々な大学での研究が出発点になっていることで、基礎的な技術要素は確立されている状況からのスタートですが、それらの技術を実用的に組み合わせ、宇宙空間まで届ける衛星として実現するには多くのハードルを越えなくてはなりません。しかも、計画にあるようなごく短期間で打ち上げにまで持っていくことは並大抵のことではありません。物理的な試作や試験は時間的な面でもコスト的な面でも難しく、同社の大きな武器になっているのが、Femapを活用したCAEなのです。

「開発当初から設計自体は3D computer aided design (CAD)で行っていましたが、CAEは外部に委託していました。しかし、どうしてもコストがかさむのと、開発にとっての要となる技術だという考えから、社内での解析環境を整えることにしました。そこで、2015年6月にFemapとNX Nastranを導入したのです。FemapやNastranは航空宇宙業界ではもともと実績のあるツールですし、信頼性が高いということも知っていました。私たちの目的に合致するということで迷いなく導入を決めました」と、同社のエンジニアである荒木友太氏は述べます。

「設計で使用している3D CADにも解析ツールが備えられているのですが、非常に単純なものしか解析できず、私たちの要求には応えられるものではありませんでした。Femapは、複雑な解析ニーズを満足させてくれますし、何よりとにかく操作が簡単だということが素晴らしいと感じています。私自身は過去に様々な構造解析専門のソフトを触ってきましたが、その中でもFemapは特に使いやすく、痒いところに手が届くような感じを持っています。」と解析の経験が豊富な荒木氏もその使い勝手を評価しています。

優れたメッシュ作成機能が開発スピードに寄与

人工衛星は過酷な宇宙の環境で動作するということ以前に、ロケットの打ち上げの際には強大な加速度と振動にさらされます。ここでの性能評価にCAEは欠かせません。打ち上げ時の振動に共振しないようにするために各コンポーネントの固有振動数をあげる一方で、軽量化も図りつつ必要な強度も備えていなくてはなりません。規定のギリギリを狙い、強度、質量と固有振動数のせめぎ合いの中で最適の設計を、きわめて限られた時間のなかで行わなければなりません。

「3D CADのソリッドモデルのものをそのまま解析するのでは、大きな計算リソースが必要になります。現在の衛星の解析モデルでは、大部分をシェル要素でモデリングしていて、ソリッドの要素にしているのは複雑形状が必要な部分だけにしています。データのサイズは、約10万節点程度のサイズになりますが、この規模であれば、普通のエンジニアリングワークステーションでも非常に高速に結果を得ることができます。」と荒木氏は続けます。

「Femapのメッシュ作成機能が使いやすく、操作が直感的なのが良いです。自動メッシュ作成でも品質の高いメッシュが作成できますし、そのあとにマニュアルで調整するのも簡単です。インポートしたCADデータから面要素を作成するのも容易ですし、必要があればFemapのジオメトリー修正機能を使えるので、元のCADデータを修正してもらうといった余計な手戻りもありません。」

柔軟なインターフェイスで協力企業との開発コラボレーションを促進

私たちの人工衛星は、アストロスケール一社で開発しているわけではありません。一般企業や10を超える大学との共同研究も進めています。外部委託しているのは、人工衛星に使う様々なコンポーネントで、アストロスケールがシステム設計を行い、衛星を組み立て、さらに試験をしています。

これら外部の組織に委託している設計のデータをそのままCAEでとり扱うことができることも重要な要素です。Femapは、Initial Graphics Exchange Specification (IGES)やStandard for Exchange of Product Data (STEP)といった中間フォーマットのジオメトリーデータだけでなく、主要なCADのフォーマットにも対応しています。そして、インポートするCADのファイルがどのような形式であるかに関わらず、優れたメッシュの作成、必要に応じてのモデルの修正といった使い勝手が変わることはありません。つまり、そのデータが外部で作成されたものかどうかに関わらず、シームレスに解析を実施することができるのです。これは同社にとって重要です。例えば、固有値の問題もシステム全体として解析を行う必要があることはもちろん、個別のコンポーネントとしての考慮も必要です。Femapによって、人工衛星をシステムとして解析することが可能になっているのです。

このように構造解析は同社にとって重要な要素であり、今後も解析技術をつきつめていこうと考えています。構造解析を極めることで、開発プロセスをさらに短縮できる可能性があると荒木氏は考えています。現在、実験で得たデータを解析モデルに合わせこみ反映していくことを試みており、技術を蓄積することで、次号機では更なる効率化をはかることを考えています。「人工衛星の実機が打ちあがるまでには、構造モデル、次にエンジニアリングモデル、そしてフライトモデルという3つの役割の違う現物モデルを作らなければならないのです。しかし、構造解析を突き詰めることで、構造モデルを省ける可能性があります。構造モデルが省ければ、2年半の開発期間のうち半年を短縮できる可能性があります。これはコスト面でも非常に大きなインパクトがあります」と伊藤氏は今後への抱負を述べています。

詳細を非表示 詳細を表示
quotation marks "Femapのメッシュ作成の機能が使いやすく、操作が直感的なのが良いです。自動メッシュ作成でも品質の高いメッシュが作成できますし、そのあとにマニュアルで調整するのも簡単です。インポートしたCADデータから面要素を作成するのも容易ですし、必要があればFemapのジオメトリー修正機能を使えるので、元のCADデータを修正してもらうといった余計な手戻りもありません。" 荒木 友太 氏, 株式会社アストロスケール Engineer
Close Video