企業内に蓄積されたナレッジを、だれもが使える形にした上で広く共有することで、製品設計プロセスにおけるさまざまな課題を解決することができます。シーメンスPLMソフトウェアは、ナレッジを軸としたプロセス改善を実現し、製品設計プロセスの効率性を大幅に高めることのできるデジタル製品開発ソリューションNXを提供しています。本稿では以下の4つの観点からNXの優位性を明らかにします。

製品構成が多様化する中で、製品の企画・デザインから設計、製造、販売、保守に至る一連の製品ライフサイクルを短縮することが製造業の競争力を強化するポイントとして重要なテーマになっています。中でも、迅速な製品立ち上げを実現するために、設計プロセスの効率化は欠かせません。とはいえ、日本の製造業では、単にCAD/CAM/CAEを実現するだけのツールを業務に適用しても効率性は高まりません。企業内に蓄積されたナレッジを、だれもが使える形にした上で広く共有することで、製品設計プロセスにおけるさまざまな課題を解決することができるのです。
現在の製造業界が抱える主要な設計段階における課題に以下のようなものがあります。ベテラン技術者は減少の一途で、彼らのノウハウや経験が形式知化されていないために若手への技術移転が進んでいません。また、製造プロセスの分業化が加速しているため、一連の製造プロセスを広い視野で見渡せるエンジニアが育ちにくい環境になっています。このため、技術者によって設計品質にバラツキが出ます。IT面では、製造にかかわる情報技術を導入していても、複数のシステムが混在することためにスムーズな情報共有が困難です。そのほかにも、大量なデータを抱えているため、過去の設計データの検索にも時間がかかります。これらの課題を解決できないために、製品の企画から市場投入までの期間が長くかかってしまっています。
では、課題解決のためにはどうすればいいのでしょうか。ベテラン技術者のノウハウや経験をだれもが利用できる知的財産として設計プロセスでうまく共有し、過去の設計内容で使えるものを自由に再利用することが重要なカギになるのです。
シーメンスPLMソフトウェアの答えは、「NX」です。実際に、NXを採用したボルボ・エアロ社は、ナレッジを軸としたプロセス改善で、効率性を70~80%高めたことを報告しています。また、製品テンプレート技術により、80%以上の生産性改善と90%以上の作成時間短縮が報告されています。
「見つけやすさ」は、プロダクトデザイナー、CADエンジニア、解析担当者などがNXに登録した標準部品やパートナーから仕入れた部品、製品内のサブユニットなど、あらゆる単位でCAD/CAM/CAEデータを再利用ライブラリの中から容易に見つけ出し、再利用できることを指します。
NXは、エンジニアリング活動と製品情報および製造ノウハウを結び付けるシーメンスPLMソフトウェアのオープンなPLM基盤であるTeamcenterとシームレスに連携できます。そのため、ここでは単に名前や形状による検索だけでなく、材質などのさまざまな属性情報をもとにした検索や、Teamcenterの分類機能を利用した検索も可能です。また、設計者はNXで設計したフィーチャをグループ単位で再利用ライブラリに登録し、必要なときにドラッグ&ドロップで自由に取り出して再利用できます。
NX再利用ライブラリ
さらにNXは、シーメンスPLMソフトウェアの3D形状検索エンジンであるGeolus Searchアプリケーションと連携することも可能です。ここでは、部品の形状を示す文字列や形状そのものを入力し、ジオメトリにもとづいた類似形状を検索できます。すべてのデータを詳細表示できるため、過去に作ったことのあるモデルを再利用できなかったときにゼロからモデリングしていた無駄な手間を省き、既存部品の再利用率を向上させ、結果的にコストの削減と作業時間の短縮を実現します。
2つめは、「ノウハウおよびプロセスの容易な組み込み」です。NXは、ベテラン技術者が実行する一連のモデリング手順をプログラミングすることなく取り込み、組織全体におけるモデルの共有・再利用を可能にします。これにより設計者は、標準の設計プロセスや企業独自の設計プロセスを自動化し、複数の手順からなる設計作業をスムーズに進めることが可能です。
具体的には、押し出しや穴、ボス、リブなど、一般的によく使われる形状に対してあらかじめ決めておいた操作手順や、その手順によって作成したモデルであるユーザ定義フィーチャ(UDF)をウィザードから作成し、NXのライブラリに登録します。そして、ライブラリに保存したユーザ定義フィーチャは、新しい設計モデルに容易に適用できるだけでなく、企業に蓄積されたナレッジの活用を促進し、生産現場へのベストプラクティスの適用を加速させます。このほか、NXはKnowledge Fusionと呼ばれるエンジニアリング言語環境を備えています。これにより設計者はNXの機能を容易に拡張でき、NXに標準搭載している要素のようにモデルに必要な設計ルールを追加しながら、仕様に合わせた設計を実行できます。
NXナレッジフュージョン(KF)
パラメトリックモデルはナレッジ組み込みの形の1つですが、一般的なやり方では、パラメトリックモデルを組織全体で再利用することが困難です。というのも、たとえば、ある設計者が作成したモデルを再利用したくても、モデルに定義されているパラメータなどの意図を理解できずに断念したり、設計した本人でもモデルの使い方を忘れてしまったりするケースが多いためです。その結果、モデルを再設計することも考えられます。
そこでシーメンスPLMソフトウェアは、ユーザ定義フィーチャやパラメトリックモデルに、3つ目の「再利用するときの使いやすさ」を取り入れています。この機能を重視したことで、さまざまな設計モデルに容易に転用できる形式で保存しておくことが可能です。
具体的には、製品テンプレートスタジオがその役割を担います。これは、ユーザ定義フィーチャやパラメトリックモデルを容易に再利用するためのユーザインタフェースを提供するツールです。再利用性の高いパラメトリックモデルを取り込み、プログラミングすることなく容易に製品テンプレートモデルを作成します。そして、再利用時のルールを製品テンプレートモデルに関連づけることでモデルの有効性を向上させたり、設計ノウハウをパートやアセンブリ内に定義してテンプレートモデルの意味をわかりやすく継承したりすることが可能になります。
どのようにすれば、驚くほど単純に、パラメトリックなCADモデルを再利用することができるか?
また、NXには締結アセンブリの考え方があります。これは、ボルト、ナット、ワッシャーの組み合わせを締結アセンブリとして登録しておき、配置したいフェースを選択するだけで、そこに存在する穴の大きさや深さなどに適応したJIS準拠のボルト、ナット、ワッシャーの組み合わせを表示し、モデルの締結部分に配置してくれる機能です。
最後に「開発サイクル全域での一貫性」です。製造業では、製品の品質改善が重要なテーマの1つになっています。製品に品質不良や欠陥があれば、顧客からの信用の失墜を招き、リコールに伴う多額のコストを発生させます。NX Check-Mateは、CADファイルやモデルが法規制や工場規格、企業内の設計基準、あるいは顧客が求める基準に適合することをチェックし、品質を維持するアプリケーションです。モデルの品質をレポートにより可視化し、チェックの結果をTeamcenterに保持できるため、企業全体での継続的な品質改善を実施できます。
またNXはTeamcenterと連携し、承認フロー機能を実装することも可能です。ここでは、NXがTeamcenterで管理しているモデルの設計要件を参照しながら3Dモデルの状態を監視。承認フロー上で品質改善が必要なモデルやワークフローを提示し、あらゆる品質基準を満たしたモデルだけが再利用できます。これにより企業は、継続的にデータの品質を高め、設計初期段階のミスが下流工程に影響を与え続けることを自動的に防止できます。
このほか、NXはTeamcenterと連動して製造要件を生産現場に正確に指示することも可能です。これにより、常に仕様通りの製品を生産できる製造プロセスが進行していることをリアルタイムに確認しながら、次期バージョンの設計を進めることができます。
要件にもとづく自動チェックのイメージ
NXはこれら「見つけやすさ」「ノウハウおよびプロセスの容易な取り込み」「再利用するときの使いやすさ」「開発サイクル全域での一貫性」の4つのメリットにより、製品の設計開発プロセスにおけるコラボレーションを加速させ、生産効率性を高めるソリューションとして大きな役割を果たしているのです。
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